モンスーンがもたらす躊躇(ためら)い (4) 

最後に、アジア全体を見た時に絶対に忘れてはならないことが、華僑の存在です。

東南アジア各国にどの位の中国人がいるのかを調べて見たのですが、華僑と華人の定義が明確でないこと、調査した国毎に調査年が異なること、インドネシアやベトナム等元々華人であることを言い出しにくい国もあること等から、どうしても数字の正確さには欠けます。    しかし、大まかな傾向は見て取れます。

まず華人華僑の違いですが、ウィツキペディアでは、『華僑とは二重国籍等の状態によって中華人民共和国籍を保持したままの者及び現地国籍のみを有する者のどちらも含んだ総称であり、華人とは現地国籍のみを有する土着化した者である。』と書かれています。
JETRO(日本貿易振興機構)等の別の資料では、華僑とは二重国籍者(即ち中国国籍を手放さない者)、華人とは居住国国籍者と定義されており、資料や国によって解釈が異なることが、正確な数字を把握出来ない理由です。

偶々見つけた居住国国籍者である華人だけの統計(『華僑経済年鑑 民国101年』中華民国僑務委員会、2012年;これは、台湾で作成された資料なので台湾出身の華僑も入っているのか疑問ですが、元来台湾出身の華僑の人数も少ないと思われることから数字には大きな変動は無いと判断)で、総人口に占める割合が多い国は、シンガポール(53%) , マレーシア(24%),タイ(11%)がありますが、これに華僑の人数が加算されると更に比率が上がります。

特にこれらの国においては、日本に比べ中国との距離的な近さや中国人の比率の高さから、政治や経済(特に貿易や現地への投資)や文化等いろんな面で、例えると木の根が土深くと木の周囲に無数にはびこる様に、中国との関係が、広く深く関わっています。

1年に1度か、数年に1度の割で、日本の安倍首相がODAや技術移転等の手土産を持って東南アジアの国々に外遊しても、殆んどムダ金のばら撒きに終わることが目に見えています。     即ち上記の3ヶ国が日本やアメリカに与(くみ)して、中国と戦争する様な可能性はゼロと思われます。
特にシンガポールは、既に一人当たりの名目GDP(国内総生産)は日本をはるかに凌駕しており、2017年には日本の1.5倍にもなっていますし、また総人口当たりの核シェルターの普及率が54%(対する日本は0.02%)と、既に日本から学ぶものは何も無い、その様な国にも見えます。

逆に華人の少ない国としては、カンボジア0.8% , ベトナム , フィリッピンの1%,ミャンマーの2%ですが、ベトナムの場合、中国との間に長年にわたる国境紛争や石油掘削の海上利権紛争を抱えて来たと言う、特殊事情はあるものの、全般的に東南アジアでも経済発展が大きく遅れていた国々が、特に目立ちます。

しかし単に華人の割合が少ないからと言って、インドネシアの様に、居住国での影響力が劣る訳では決してありません。人口が2億7千万を越えているインドネシアでも、華人は3%(それでも812万人)しかいません。これは『人口の3%しかいない華人が国富の7割を握っている。』と言う、不満のはけ口となった「ジャカルタ暴動(1998年)」が影響している様で、その後の増加率も緩慢です。

華僑とは二重国籍者(即ち中国国籍を手放さない者)に限定すると、特にこれらの華僑は、  戦前・戦中のお国のために身を捧げた愛国心教育の日本同様、中国本土で共産主義教育・愛国主義教育を小学校~大学に至る迄ずっと受けた人々か、或いはその子供であった場合が多いのです。                                       チャンスさえあれば、お国(中国政府)の為になるなら、スパイでもなんでもやり兼ねない人達なのです。

このため国家レベルで中国と対立した場合、日本大使館やアメリカ大使館等へのデモやネットを使った中国政府寄りの発言、中国寄りの政治家の応援や選挙での投票など、海外では政治活動をほとんどしない日本人とは異なり、集団生活の蟻の様に、団結して事に当たります。  華僑や華人が多いテレビ局や新聞社も、こぞって国内に中国寄りの発信を行い洗脳します。   また必要とあらば、国外にも中国側に立った報道を積極的に発信します。

『東南アジアで影響力強める華僑(2017年12月7日(木))』というタイトルで、BS1のNHK放送のダイジェストを見つけました。良くも悪くも東南アジアの各国に、大きなインパクトを与える中国と華僑の現実が見て取れます。ttps://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/12/1207.html

以上『モンスーンがもたらす躊躇(ためら)い (1)~(3)』を読んで頂いた後の、皆さんの感想は如何でしょうか?

安倍首相の度重なる外遊による経済的な緊密化はある程度期待できるものの、対中国に対しては、安倍首相が一番期待する日米と共に究極的に軍事で共同歩調を取れる国は、東南アジアにも南アジアにも、殆ど無いという事です。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国の経済的繁栄やアジアにおける求心力からして、いずれアメリカはアジアから手を引かざるを得ない時期が来ると思われます。             その時、中国は時を移さず、東西南北4隻程の空母で台湾を取り囲んだ上、本格的な侵攻を開始し、台湾政府に降伏を迫るものと思われます。

一方韓国はいち早くアメリカと決別し、中国にすり寄る姿勢がより顕在化するでしょうし、 あわよくば中国の力を借りて、対馬を奪おうと画策することも予想されます。                     なぜなら、現在までの韓国の動きを見ても下記のとおり、懸念材料がすでに出始めているからです。

現在の対馬は、釜山から高速フェリーで1~2時間。運航会社にもよるが、運賃は片道800円~3000円と割安。                                   対馬は人口3万人と過疎化が進んており、本島へ移り住む為土地を手放した人も増えつつあり、これを在日朝鮮人の手引きで、日本人名義で密かに買収された不動産も多い。     中には日本人立入禁止の韓国資本による新規リゾート施設も出来ている。

距離的に近いこともあり、対馬には年間20万人を超える韓国人観光客が来る。      泊まるのは韓国人経営のホテルや民宿で、島民の利益は少ない。町は、道路標識や公共の建物等もハングルで、リトル韓国化している。                                             観光開発の為の土地取得に留(とど)まらず、自衛隊基地周辺の土地も購入されていることから、政治的目的を持った意図も懸念されるため、法整備を迅速に行い朝鮮人の土地買収に歯止めを掛けないと、対馬が竹島化するのは時間の問題と見る。

一方で韓国国内では、次の様な動きがある。
2005年には、馬山市議会が「対馬は韓国領土」とする条令を制定。
2008年には、50人もの韓国国会議員が対馬は、韓国領土として発議。

また戦後、密造酒の製造・販売、高利貸、パチンコ業(パチンコ店は、福岡県北九州を中心に当時は、数十店舗を所有)で財を成した在日朝鮮人の「安本三憲」の次男として生まれ、その後日本国籍を取得し、更にその後アメリカ国籍に変えたと言われている「孫正義」氏は、2017年に韓国と対馬・九州の海底トンネル敷設について、積極的なバックアップを表明している。

2017年12月22日、対馬・厳原に在日本大韓民国民団支部の事務所開設(長崎新聞)のニュースが出た。https://www.oricon.co.jp/article/648690/

事務所の設置は、「孫正義」氏が2017年に韓国と対馬・九州の海底トンネル敷設について、積極的なバックアップを表明していることと連動していると推測。(ただ日韓関係の悪化から、当面は韓国サイドからの具体的な提示は無く、密かな環境醸成に力を注ぐものと思われる。) 「孫正義氏」本人は、『今後は通信事業より、フアンド等を使った投資に重点を移す。』と言った。即ち将来海底トンネル開通の為にフアンドの資金を投入する可能性が大きい。(当然の事ながら、トンネル開通後の通行料等での費用回収を図るものと思われる。)

(詳細は不明だが、日本国籍を持たない「在日朝鮮人の特権」としては、一般的に免税が良く言われている。不動産の諸税や証券の取引等への課税は日本人と同じとしても、父親の安本三憲氏も孫正義氏も、長年にわたり所得税への課税を免れつつ、更に相続税の課税も回避したものと思われる。孫正義氏の日本国籍取得は、恐らく父親の死後、即ち父親の財産の相続完了後と思われる。

現在孫正義氏自身の個人所得を管理する会社の法人登記は、日本ではなくケイマン諸島、バミューダ等の、税金がかからない国や信託統治国に登記しているものと推測される。                                                     更にソフトバンクは、日本で公共性の高い通信事業で収益を上げているにも関わらず、孫正義氏は、グループ統括管理会社自体の法人税負担低減を図る為日本から逃亡し、法人税率が大幅に低いイギリス(含む信託統治国)への本社移転計画を社内で検討させたことが、2015年の10月にニュースになった。     『純利益1兆円のソフトバンク「法人税ゼロ」を許していいのか?』と言うタイトルで2019.9.30.付の記事として、この様な記事もあります。)

紆余曲折を経て仮に実現した場合、日韓のトンネル開通は、対馬の竹島化を促進し兼ねない 不安要因と見ます。

中国に加え、この様な韓国の動きも敷衍(ふえん)すると、アメリカの撤退後を想定すると、

①日本の安全保障上の不安が、大きく擡(もた)げて来ます。

②更にアジアにおける日本の地位は大きく低下し、今の台湾と同様に、アジアでの孤立を深める可能性も否定できません。

中国の強引とも言える南シナ海での、領海や接続水域の設定と監視活動により、日本と中東やヨーロッパとの間の海上輸送にも支障が出て来て、最悪遠回りとなる西太平洋側を航路に設定せざるを得ないかも知れません。                           更に尖閣、沖縄への飛来や軍船の航行が常態化し、中国の軍事的な圧力をひしひしと感じざるを得ないのではないかと、危惧致します。

その時日本でも遅ればせながら、核保有の可否が論じられるかも知れませんが、国連加盟国を巻き込む形での中国や韓国・北朝鮮からの非難・反発も予想され、また国内でも政党間の調整も難しく、核保有の実施プランが暗礁に乗り上げる可能性が大と思われます。

ただ現在の中国は、軍事力が中国の経済力に裏付けられたものであることから、習近平が唱える『一帯一路』構想が大失敗に終わり、多額の損失を中国が被れば覇権国家も萎(しぼ)む可能性もあります。

非常に残念な事ですが、他力本願で中国の失敗を待つことでしか、日本の将来は無いのでしょうか ?

仮にアメリカがいずれアジアより撤退する可能性も想定し、アメリカに頼り過ぎず、自国は自国で守ると言う基本姿勢を貫くことが大事だと思います。

一応モンスーンがもたらす躊躇(ためら)い は、これで終りとします。

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