自貢(ズーゴン)への誘(いざな)い  (6)-B

「自貢」という地名は、1939年「自流井(ズリョウジン)」と「貢井(ゴンジン)」という近隣の2つの町が合併して市となり、両方の町名の頭文字を採って「自貢(ズーゴン)」という名になりました。                                                         元々の鹽井にちなんだ地名であり、いずれも昔より製塩業で栄え、豊かな塩商人の活躍する町でした。                                      即ち自貢を中心とする「井鹽(井戸から汲み上げた鹽水を蒸留して取れた鹽) 」の商業生産は、後漢の頃にはすでに行われており、富裕な塩商人による繁栄は、交通手段の発達と安い海の塩や岩塩が輸入されるようになる迄の、清末期および中華民国統治時代の初期まで続きました。

今私の手元に、広西師範大学出版社発行の『至る所に鹽井が見られる市』というタイトルで、自貢市の鹽井について書いた本があります。
専門用語があちこち見られ、一般の中国人でも井鹽や自貢についてある程度の知識が無いと理解しにくい本ですが、成都の仲間から聞いた話や、ほんの僅かですが仲間の部分訳を加味しながら、写真を説明することで、皆さんの鹽井を理解する一助になればと考えます。         中には私も理解不能な写真がありますが、中国語が読めないことから、私が説明出来ない写真は敢えてカットし、掲載しませんでした。

(1) 井戸掘削関連の写真

写真1:鞴(ふいご)を使い、鉄を溶かしている写真

写真2:溶かし固まりつつある鉄を叩いて加工し、土を掘削していく工具を作っている写真

写真3:掘削工具の色々

写真4:人力による掘削作業                              作業者の中には、子供もいる。てこの原理を利用し、体重を乗せたり外したりして掘削していた様で、掘削作業での浅い初期の段階と思われる。

写真5:当時の自貢の風景

当時自貢は、鹽水を汲みあげる天車(櫓;やぐら)が至るところに林立しており、鹽の製造の為、水を蒸発させている煙突の噴煙も見られる。

写真6:

井戸水を汲みあげている内に鹽分が薄くなるため、更に井戸を深く掘る必要があり、一番高い天車(櫓;やぐら)は、地上より113mの高さまで延びた。

それにしても、鉄塔である東京タワーの高さが333mもあるのに、鉄を全く使わず丸太と縄だけでその約1/3もの高さの天車を作り上げる技術は、すごいとしか言い様がありません。

写真7:天車群                                    幾つもの天車が競い合う様に空高く延びて、井戸掘りが盛んであったことを思い起こさせる。  天車の高さが非常に高いという事は、地上に近い所の鹽は採取し尽くし年数を経た古い井戸という事であろうか?

「(天車が空高く林立していた)当時は日中戦争が激化していた時期であるため、1939年10月10日から1941年8月19日にかけての2年間、日本軍は7度にわたり自貢を空襲した。        この間自貢は大きな被害を受けたが、自貢に設置された高射砲が日本軍の爆撃機に対抗した。日中戦争では日本軍の爆撃を受け被害の大きかった都市でもある。」とウイッキペディアに書かれていますが、高射砲を設置された写真も無ければ、高射砲を置いて対処したと言う話は聞かれませんでした。

何故日本軍が、頻繁に爆撃を繰り返したのか ?

自貢では、日本の飛行士が天車を高射砲と間違って爆撃した等の話もありますが、日本軍がここを見間違って7回も爆撃を繰り返すほど、間抜けではなかったと思います。       他方でウイッキペディアには、「 国民党軍の記録によれば、日中戦争を戦うための寄付金が最も多く寄せられた都市でもある。」とも書かれています。

当時国民党の管轄下にあった自貢は、井鹽からの莫大な税収と、鹽で巨万の利益を得た富裕層からの多額の寄付を生み出す地であり、国民党の大きな資金源となっていました。     即ちこの事実から私は、国民党の大きな資金源を絶つ目的で、日本軍が軍事作戦として、鹽井の爆撃を繰り返したのではないかと思います。

写真8:天車の設置工事。                               写真に写っている工事中の人間だけでも9人おり、地上から見たらかなりの規模の天車だと思われる。天車が倒れない様に、いろんな方向から沢山の綱で引っ張っている。                    写真の様に縛った沢山の杉の丸太は、上に向かう程細くなり、隙間が出来る為、この隙間に更に新たな丸太を楔(くさび)の様に打込むことによって、高さ100m以上の櫓を作ることも出来た様です。

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