お寺の前は2車線の無舗装の道路で、お寺の建物と並行して走っています。
2車線と言っても、日本の4車線(片側2車線×2)程の道幅があります。その先には、4~5階建ての比較的低い高さのマンションが、数棟あります。投資目的も多いと思われますが、常時使われている様ではなく、周りでは別荘と呼んでいました。
私が建物内の改修工事をしていた頃は、既に建築後何年か経っている様で、人の出入りも少なく閑散としていました。
そこでまず、リョウさんから聞いた昔話から始めましょう。
前面のマンションの新築工事が略(ほぼ)終わり、水道管の引込とメーターの取付が終了したことを確認後、間髪を入れずお寺の経営者が従業員に命じて、夜間お寺から2車線の道路を横断する形で溝を掘り、水道管をマンションの水道管迄延長させました。
そして水道局がマンション用にメーターを取り付けたちょっと先に、お寺から延長した水道管を繋ぎ込み、素早く掘った溝を埋め戻したそうです。僅か一晩の作業だったそうです。
ですからお寺は、それ以来ずっと盗水しており、私も水道代は払わなくて良いはずだと言っていました。ところがお寺の経営者は、私の店用に分岐した配管にメーターを付け、毎月の水道代を要求して来ました。
お金を出さないなら、水道管の繋ぎ込みをさせないと言います。
リョウさんから昔話を聞いており、盗水になぜ私が支払わないといけないのか、決して納得はいかないものの、事を荒立てる必要も無いと考え、仕方なく要求を飲みました。
ただ経営者とは言え、お寺に仕える者が、泥棒のようなことをして、仏様が許すはずはない。何れ、罰(ばち)が当たるのではないかと思いましたが、振り返って見ると、お寺の経営者は元々坊さんではなく、今までも単にお寺を利用し金儲けに励んでいる事からしても、お寺に参りに来る信者の事を考えると、必ず経営者には、然るべき罰が当たって欲しいと言う気持でした。
今後お客が増えることも考え、お寺の敷地内の汚水槽を大きくし、更にもう1槽作りましたが、ある程度浄化された汚水は、前面の道路脇にある市の排水溝迄土管を伸ばし繋ぎ込む必要があります。
このケースの場合は、お寺の敷地から排水溝迄はすぐなので、繋ぎ込みの工事は比較的簡単です。しかしこれには市の許可が必要で、一時金や毎月の処理費用が発生します。
真面目に役所に繋ぎ込みの許可を届け出たら、恐らく水道使用量を基に毎月の請求額が決まると思われることから、水道の支払額がゼロだと盗水も勘繰られます。 お寺の経営者は、同じように従業員を使い、夜間市の排水溝へ繋ぎ込みました。ですからお寺としては、今も一銭も、水道代と下水代を支払っていないはずです。
桂林師範大学の近くは学生向けの飲食店が多いことから、私は何回か行ったことがありますが、ある店の横手の小道を入って行くと、小汚い4~5階建のアパートがありました。 この1階の登階段でビックリした経験があります。
最初に目にした時、『何だ、これは!』と言う感じでした。 1階外壁の分電盤の扉が全く見当たらないばかりか、蜘蛛の巣が張ったように無数の線が分電盤から出ていました。どの線が、何処につながっているのか全く分からない状態です。 これは盗電だと思いました。
個別の家の玄関口の上付近にあるメーターとは繋がっていない訳です。
ひょっとすると隣のアパートの住人が分電盤から線を延長している可能性もあります。 線も大小色々で絶縁性も危惧され、危険なことは言う間でもありません。
中国では、道路脇の電柱と電柱を繫ぐ線から盗電されることが多いと聞いていますが、何せ日本と異なり電圧が200Vなので、繋ぎ込みに失敗すると命に係わる事態となり兼ねません。
また成都では、しばしば幹線となる電線が張られた所の地上には、3~4m×2m×高さ2m前後の箱型の設備が置かれていました。出入り口となるドアは、全て施錠されています。 最初はどうしてこんなものがあるのか分かりませんでしたが、電柱をよく見ていると、何処にも日本ではよく見かける黒色のトランスが載っていません。 恐らく人通りが少なくなる深夜など高額と思われるトランスを盗む事態が頻発したのだと思われます。日本ではあり得ない話ですが、こんなことまで気を配り対応しないと、電力会社は電力供給を果たせない訳です。
しかし他方で、成都でも桂林でも、電気の配線工事を途中でストップしたのではないかと思わせる位杜撰(ずさん)で、あちこちで直径30~50cmに巻かれた線が空中に放置されています。電話等の信号線なのか電気の線かは不明ですが、余りに多いので、両方の可能性もあります。 将来の線の拡張の為の対応か、或いは単に線の切断が面倒な為にそうしたのか不明ですが、 見栄えも決して良くありません。
お寺は、盗電はしていませんでしたが、業務用と家庭用は、使用電力の単価が大幅に違っており、私の場合は業務用と言うことで、高い単価での請求となりました。 ただ店用にメーターが付けられていて配電会社からの直接請求だったため、水道とは違いすっきりした感じでした。
ガスは、ガス管が埋設されていないため、都度プロパンを購入することにしました。