【黄さんのビジネスと周囲の人々】6.黄さんの情報網

無数の他人の中で生きて行かざるを得ないためか、親兄弟、親戚の結束が日本とは比べようが無いほど強く、またお互いの動静も把握しており、更に事がある度に頻繁に集まることも多い様です。一昔の日本の農村などは、これに近かったのかも知れません。

また一度友人になると、困った時など、損得抜きで徹底して面倒を見てくれたり、共に行動してくれたりすることも多い様です。だから、親兄弟、親戚、友人間での騙し合いやいがみ合いは、(サークルの中からはじき出される可能性があり、またサークル毎に調整者も見受けられることから)少ないと思われます。

更に生まれ育った省を出て、他の省でビジネスを行う場合も、同郷ということでお互いに資金を出し合って協力したり、お互いに情報を流したりすることが多く、組織化している所もあります。(日本の〇〇県人会の様な、結束の無い団体とは本質的に異なります。)

他に、朝鮮族など漢民族以外の少数民族内の結束も見られます。

仕事を求め人の移動が中国全土に拡大している今日、上海や北京を始めとする大都市では、近くに親兄弟、親戚もなく、次第に日本と同じ核家族化する方向にあります。                       また経済的に豊かになれば、地方でも次第に大家族的な絆は薄れていくでしょう。              多種多様な情報は、テレビやネットなどからもありますが、直接的にはお金儲けに結びつきません。

直ぐに自分のビジネスに役立つ情報、お金になる情報を入手する手段としては、今挙げた所属するサークルからも勿論ですが、職場、麻雀、ゴルフなどの機会を通じて、新たな人脈を作ることも多い様です。

さて、本題の黄さんの情報網について、お話しします。

私が、日本人や中国人の知人を黄さんに紹介すると、彼は必ず名前と電話番号を聞き、その人の情報を携帯電話に入力して行きます。                        そのころは、まだスマホなどない時代でしたが、彼は、電卓の液晶程度の小さい入力画面の下に、小さいボタンが30個ほど付いた多少大きめの携帯電話を使用していました。

これにローマ字(ピンイン: ピンインとは中国語の漢字を、外国人が読むためにあてたフリガナのようなもの。英語の読み方とは若干違いますが、ピンインは「V」を除く25のアルファベットを使って表わします。)に変えて、入力していました。

最初は、あまり気になりませんでしたが、私が紹介しなくとも、私の友人に積極的に聴いて回るので、『 いい加減にしろ !! 』と言いたい時もありました。

実はこれが、彼独特の人脈形成の手段でした。

今の時点で特別に用は無くとも、彼が将来自分の役に立つと思われる人には、年に何回かは電話で話しかけていた様です。

また私が彼に電話しても、中々繋がらない事が多く、その理由が最初は分かりませんでした。私と一緒に店で食事している時も、良く電話が掛かってきて、長電話も結構ありました。その電話の大半が女性で、黙って見ていると彼は大抵の場合、聞き役でした。

女性からの悩み等の相談事や、頼まれごとも結構多い様でした。

私が中国にいた当時は、中国人は大体50歳を超える位から現役を退く人が多く、この為か、30~40歳代が一番責任を持って働く世代でした。

年金等の社会保険制度(実際は、一般労働者だと加入していないケースが多いのですが)の変更などにより、今はもう少し現役を退く人の年齢は高くなっているかも知れません。     ただ、社長などの経営者層は、元気なうちは年齢に関係なく働いている人が多く、この人達は、50歳を過ぎて現役を退く人より、高齢であっても元気で若々しく感じました。

日本と異なり、能力ある女性は結構マネージャーや支配人等の上級管理職に就いていて、男の人が下で使われているケースも普通にあります。特に会計が出来る或いは会計資格を有する女性は、上級管理職になっているケースが多い様でした。

彼は、こうした女性を通じて、料理店、ホテル、喫茶店等の開店情報を入手したり、あそこのホテルのマネージャーは友達だから、黄さんの植木のレンタルを奨めてあげる等の便宜を図って貰っていた様です。

黄さんにしてみれば、常日頃の相談相手からの情報なので、広い意味ではギブ&テイクと思っているのでしょう。私も彼について行き、桂林でも最高ランクの『シャングリラホテル』の女性マネージャーからの招待で、プールで泳ぎ、食事をしたりしました。

下段左は、泳いでいる人がいない為、分かりずらいのですが、室内プールです。        下段右にレストラン「リーカフェ」の写真が写っていますが、ここは喫茶というより、バイキング方式で寿司、そば、天ぷら等の日本食に加え、デザートの果物の種類も多く食べられるため、私も会社の友人や桂林の友達を誘い、年に3~4回飲食していました。

拡大写真は、シャングリラのHPからだと、もっと綺麗でハッキリと見ることが出来ます。

■Shangri-La Hotel Guilin

http://www.shangri-la.com/guilin/shangrila/  ( このHPの右上の Select   Languageを   クリックすると日本語の表示に変わります 。特にHPでGALLERY(ギャラリー)を選択し、写真を拡大すると、宴会場等の広さは、日本の一流ホテルを遥かに圧倒する程の規模です。)

こうして多くの女性からの情報提供や紹介等で、益々桂林でのレンタルビジネスの基盤を固めて行きました。この様な一見非効率的に見えるビジネス手法は、恋人ならともかく、多忙で誰からの電話でも長電話を受付けるそんな余裕が無い日本人には、難しいことかも知れません。

(Visited 239 times, 1 visits today)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする