自貢(ズーゴン)への誘(いざな)い   (7)

ビジネスシーズを探すために、景徳鎮、烏義、広州を廻る10日間程の旅に出た話を書きましたが成都に戻り、併せて成都でも入手可能な比較的上質なお茶『武夷山の大紅袍(3~5世代の茶樹と予想)、『四川雅安の蒙頂山産の竹葉青』、『桂林市の羅漢果茶』、『安徽省寧国市産の杜仲茶』に加え、『四川省四姑娘山の乾燥マツタケ』を販売する予定でした。

ご参考) 竹葉青(竹叶茶)については、http://timor-sparrow.net/teas/%E7%AB%B9%E5%8F%B6%E9%9D%92%EF%BC%88%E7%AB%B9%E8%91%89%E9%9D%92%EF%BC%89.html

竹叶茶(ズーイエチヤ)は、成都に近い峨眉山のお茶ですが、成都のメーカーは、非常に洗練された宣伝やお客の試飲が落ち着いた雰囲気の中で出来る様な直営店づくりに腐心しており、 北京、南京等大きな都市には、直営店もあります。          http://www.zhuyeqing-tea.com/brand/5e565803360c0c5e01360c12a9d00009

▷を押してみて下さい。

羅漢果茶の基となる羅漢果については、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%AB

杜仲茶については、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A6

更に私は歴史ある自貢の井鹽を、日本人観光客向けに売りたいと思いました。

そこで社長には、自貢の井鹽についての歴史解説と写真を付けて販売することを提案しました。社長は伝手(つて)を頼りに、自貢の製塩会社と話をつけて呉れて、社長のお抱え運転手である郷さんが、リョウさんと私を自貢へ案内してくれることとなりました。

最初に行った先は、自貢市内にある観光客向けに鹽を使った製品を販売していましたが、小規模ではあるものの、比較的綺麗なショップでした。                   そこでは以下のパンフレットからも分かりますが、井鹽を美顔用、足湯用、食用として加工した製品として販売していました。ただ私には、品物を見ただけですが、価格も高いし、お客が好んで購入する商品には思えませんでした。

ショップの店主が鹽工場の責任者へ連絡してくれ、私たちを鹽工場へ案内してくれました。

連れて行って貰った先は、自貢市内にあるごくありふれた平屋の工場でした。       建屋そのものも新しく、大きな建屋と建屋を繫ぐ大きな配管はあるものの、温泉の様にあちこちに水蒸気が発生している訳でもなく、外観からはとても鹽の生産工場には思えませんでした。

工場の責任者は、実際に出来上がった鹽を見せてくれましたが、私が希望する黄色みが残った鹽ではなく、日本でも良く売られている真っ白の精製塩でした。汲みあげた塩水に、工場内で透析膜を通して不純物を取り除いていると思われ、黄ばみは消え去っていました。

私はガッカリしましたが、取敢えず話を聞くことにしました。              実際の製造工場内には立ち入れませんでしたが、現在は多量の水を地下に強制的に送り込み、別のところで送り込んだ水を多量に汲みあげているとのことで、塩分の量が少なくなれば、 水を送り込む場所も、汲みあげる場所も変えているとの話でした。            工場の場所は、元々真水の送水口だったのか、鹽水の取水口だったのか、或いは天然ガスが湧き出る所だったかは聞き漏らしました。

責任者の話で特に興味深かったことは、私たちがこちらに出向く以前に、三菱商事の人が来て、サンプルとして塩を1トン程度買って帰ったとのことで、その後追加の注文は無いとのことでした。私は流石に、商社の情報収集力はすごいと感じました。

私自身は、不純物が入り少し黄ばんだ鹽を販売したかったのですが、社長への説明が不十分であったためか、或いは自貢での井鹽の生産量に限りがあったためか不明ですが、私の希望する工場で購入の話をすることは出来ませんでした。

以前、中国の漢方薬に高濃度の残留農薬があったため、日本の税関で廃棄処分となった話を書きましたが、私は、日本の観光客にも安心して購入して貰おうと(冬季日本へ一時帰国した折り)、食品への残留農薬の種類や量を調査の上、日本の安全基準を満たしているかどうかを判定できる会社や機関を探しました。

探している中で分かったのですが、殆んどの会社や分析機関において、検査費用が非常に高かったのです。成都の私のショールームで販売予定の『武夷山の大紅袍(3~5世代の茶樹と予想)、『四川雅安の蒙頂山産の竹葉青』、『安徽省寧国市産の杜仲茶』、『桂林市の羅漢果茶』『四川省四姑娘山のマツタケ』、それから自貢の塩を販売するに当たり、各社から見積を入手しましたが、検査方法、残留農薬の検査項目数の違いなどで、殆んどが100~200万円でした。

余りに費用がかかるため止めようかとも考えましたが、色々調査を重ねたあげく、山口県の『財団法人 山口県予防保険協会』に検査を依頼しました。               費用を安くするため、農薬は多種の有機系農薬成分の中から、日本の税関で摘発を受けた成分も含み200成分に絞り、また塩はナトリウム、カリウム、マグネシウム等の成分と組成割合を調べて貰うことと致しました。                           各検査項目は全て『食品検査結果書』として結果報告を貰いましたが、塩の成分分析を諦めざるを得なかったことや検査項目を絞ったことに加え、私の依頼先が県の外郭団体という理由もあったのでしょうが、結局費用を大幅に減らせて32万円の支払いに留まりました。    また検査結果も全て国の規制値を大幅に下回るか、或いはゼロで安心しました。

ところがこの予防協会へ依頼するに当たり、一つトラブルが発生しました。

検査するお茶のサンプルと一緒に塩を協会に送りましたが、塩だけは届きませんでした。  仕方が無いため、再度他の荷物と一緒に自宅に送りましたが、この時も塩だけは届きませんでした。                                       このため検査をする日本の税関に問合せたところ、日本の税関では、抜き取ることはしないし、不審物であれば、送り先と連絡を取り合うとの説明でした。ですから2件とも、中国の税関で抜き取られたことを確信しました。

中国税関に問い合わせる方法もありますが、何処の税関が関与したのか見つけだすことも困難な為、諦めました。                                 私は色が真っ白であることから、塩の中にアヘンを入れて送っている可能性も考えられること、一々アヘンの有無まで調査するのも面倒だと考え、積極的に白い粉類は抜き取っている可能性が大きいのではないかと思います。                        今回送った量は、サンプル程度なので、被害はありませんでした。

これで、一応『自貢への誘い』は終わりますが、春節(中国の正月で、日本の旧正月)にあわせた灯篭祭りや恐竜博物館見学、鹽井の博物館の見学等は、中々日本では見れない物なので、成都を旅行された折は、足を延ばして是非立寄られることをお勧めします。

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