【精進料理店】8.開店披露パーティ

開店披露パーティの日にちが決まり、準備に入りました。

20161119004

精進料理店の名前は、私が『静慮荘』と決めました。

名前を付けるに当たって、お寺と言う場所、精進料理、周囲が静かな雰囲気であることから決めたのですが、私が名付けたこの名前に対し、周りの中国人が感じる違和感については、特に意見はありませんでした。

お寺の経営者も、この際『佛光巖』という名前をサブにして、新たに『佛国仙境』と言う名前をメインにして、建物の屋上に夜でも分かるように赤文字のネオンサインとしました。

私の店の看板を建物にくっ付けないで、外に立てるに当たって、桂林市の環境局の承認が必要だということでしたが、中々許可が下りず、擦った揉んだの挙句、最後は建物にくっ付けて設置することになりました。(設置後、桂林の役人が指示どおりやっているのか確認に来ました。環境局の役人にコネがあれば、こちらの希望通りになったのかも知れませんが、これでも、金額は忘れましたが、お金を出費した記憶があります。)

パーティの招待客名簿を作成しましたが、主たるお客は、観光会社のトップや部長クラス、ガイド、銀行の支店長等で、全てお寺の経営者に委ねました。 私の方は、個人的な付き合いから来てもらう人々で、数は限られています。

当日、出席して貰った人へのお土産も兼ねて、水墨画などを描く絵師1人と書道の先生2人を夜のアルバイトで来てもらいました。

20161119003

不思議なことに、中国全土で芸術家のレベルが分かるようにランク付けされています。特に来て貰った書道家は、中国全土で上から11番のランクに位置づけされているそうです。

水墨画の絵師も桂林ではトップクラスの絵師とのことで、残念な事にこの人の全国での順位は忘れました。誰が順位付けするのか不思議ですが、国としてのランクを位置づけしている様です。

20161119006

確認はしていませんが、ピアニストや胡弓奏者もその様なランク付けがされているかも知れません。

一般の人にはランク付けがあったほうが分かりやすく商売にも役に立つのでしょうが、日本にはランク付が無いため奇異な感じがします。恐らくランク付けにより、作品の値段も決まっているものと予想されます。

準備に入る少し前、開店披露パーティの10日程前になって、やっとテーブルと椅子が入りました。多量の机と椅子が店の中に入ってきて、開店間近という感覚が従業員皆に伝わり、花瓶、テーブルクロス等小物類も少しづつ用意され、床や窓の清掃にも力が入りました。

ところが、とんでもない事態が発生しました。

多量の机と椅子を急いで搬入されたこともあり、机や椅子に塗られた塗装の匂いが強く、私には頭が痛くなる程でした。塗装に使ったものは、漆(うるし)なのか化学製品なのか分かりませんでしたが、とてもこのままでは、パーティが開けそうにもありません。

工場に対策を聞いても、本来塗装の乾燥に時間を掛けるべきなのに、急がさせられ十分な乾燥が施されていないので、仕方が無いとの回答でした。

従業員に窓を全て開ける様に言いましたが、この時期雨も多く、ずっと開けっ放しにすることは出来ません。

対応に苦慮していたら、お寺の経営者のソウさんの耳に入ったのか、彼が店の中に来て、『九十九(つくも)さん、良い方法があるよ。』、                                                             『まずパイナップルを数個購入して、これをスイカの様な切り方で8等分して見なさい。   それからその2~3片をお皿に入れテーブルの上や下に置いて見てごらん。                         ただ1週間位は、全ての窓を閉じて空気の出入りが無いようにしてください。』、    『匂いは、全て無くなりますよ。』と言いました。

パーティ迄の時間も余りないこともあり、従業員に直ぐに準備させました。

4~5日して、様子を確認しようと店の中に入った所、あの頭が痛くなる程の匂いが何時の間にか全て消えています。

私は本当に驚きましたが、思い出してみると、過去に似たような場面に出くわした事があります。場所は忘れましたが、サウナの中に、干乾びた薄いパイナップルの一切れが置かれていた事を思い出しました。

その時は気にも留めなかったのですが、サウナと言う汗だくの中で、出入りする多くの人の体臭を消すために、置かれていたのかと再認識しました。

20161121101

20161121102

20161119002

                              *写真は、味も形もヒラメに似せて作った精進料理

パーティは、多くの人が訪れ盛況でした。

料理長はその日の献立のメニューを、筆を使い和紙に似た紙に、達筆で大きく書込みました。これは、日本の料理人には出来ない、流石漢字の発祥の地の人々の為せる技と私自身、感服しました。

また当日は、リョウさんのコネで、テレビ局の人が来て撮影も行われました。       お客は食事とお酒を飲み、アルバイトで雇った水墨画家と書道家はお客の要求に応え、次から次へと作品を和紙に似た紙に書き込み、お土産としてお客に渡しています。

どちらも1つの作品として仕上げるのに、5分前後しか時間をかけていません。       掛ける時間からすると雑な感じがしないでもありませんが、書かれたものを貰い、手にして見ると、本当に良く出来ています。これが全国で番付に入る人の作品なのかと、感心しました。

お客の中には2人程、内装やレイアウトが気に入られたのか、この店を今買い取りたいとビジネスの話がお寺のソウさんを通じて持ち込まれました。購入金額もはっきりと言われましたが、まだこれから開店と言う時に言われても、私には場違いとは思わないのか、と言う感じでした。

日本では、招待されたお客がパーティの場で、オーナーに店を買いたいと申し出ることは、 皆無だと思います。そういう発想は、ありません。ところが、中国では儲かると判断したら、相手の事や立場は全く考えずに、即断、即決の世界だと再認識させられました。

(Visited 183 times, 1 visits today)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする