【黄さんのビジネスと周囲の人々】2.植木のレンタル

彼が日本から桂林に戻ってきて、なぜ植木のレンタルを始めたのか聞いたことはありませんでした。しかし付き合っていた中で知り得たことを基に、今思い起こすと、次のポイントに絞られる様です。

①彼の実家は農家で、彼も植物の育て方に基礎的なノウハウがあったこと。

➁植物のレンタルは、ビジネスの初期投資としては、投資金額が少ないこと。

③日本で働いていた銀座などで植木のレンタルビジネスを見て、桂林にはない新しいビジネスのため、開拓の余地が大きいと判断したこと。

⓸収入が増え市民生活も向上して来たため、桂林の飲食店も、清潔感や落ち着いた雰囲気を大事にする店舗造作が目立つようになり、買取で植木鉢を置く店も増えて来たこと。

まず彼が、植木のレンタルビジネスを始める時も私と会った当時も、桂林のある広西壮族自治区の隣にある広東省の広州市の市場に観葉植物や鉢を買い付けに毎年行っていました。

沢山まとめ買いして、運送会社にトラックで運ばせ、ビジネスの種にしていましたが、彼の話では、僅か3~4ヶ月で観葉植物や鉢の購入費用を回収出来るということですから、驚きです。

1年で仕入額の3~4倍の売上が略利益になる訳ですから、一時日本で社会問題化した悪徳サラ金以上の利益を上げていることになります。

植物の仕入時、桂林までの運賃も掛かりますので、元来安い市場の植物を更に値切り倒し、まとめ買いでよっぽど安く仕入れていたのでしょう。

彼は、植物の仕入価格を記帳してそれを基に値決めして売るというのではなく、植物の大きさ、見た目の豪華さで無造作に値段を決めていました。

小さなレストランには、小さい観葉植物を1鉢10元/月(月150円前後)で貸し出していますが、小さい物だと店も1鉢では店の雰囲気を和らげる効果も全く無いため、10鉢とか20鉢と言う単位で、彼からレンタルします。

ホテルや映画館などは、大きめの植物を置く傾向があり、中には1鉢100元/月程度で貸し出すこともある様です。また規模が大きい店ほど、沢山の観葉植物を置いて貰える様で、1鉢、1鉢は安くても、数が多いと結構な金額になる様です。

中には、1店で1000元以上のレンタルもあった様です。

レンタル料金の決め方も、相手店主と駆け引きの中で決めている様で、元々植物の原価が非常に安いため、お客から長きに亘る信頼を得る目的もあり、時には店の主人の要求に近い価額まで下げることもありました。

植木や観葉植物だと、貸出した機械類等とは異なり転売が難しいこともあり、水をやり過ぎて枯れることがあっても、レンタルで貸し出したものが無くなったりすることはないとのことで、ビジネスとしては危険の少ない、楽な商売に思えます。

仮にレンタル料の支払いが悪い店の場合、直ぐに鉢植えを撤去する為、殆ど損害も発生しないとのことでした。現在は分かりませんが、当時は競争相手となる同業者は、非常に少なかったことと思います。

また彼は、次の様に手間を省き、植物のレンタルを行っていました。

例えば、ある店は陽が当たる所に観葉植物を置いています。そこでは、陽が良く当たるため、植物は元気に育つそうです。もう一つの店の植物は、陽が当たる所に置いていないため、時間と共に元気が無くなります。(両方の店の従業員には、水のやり方、枯れかけた葉っぱの撤去程度を教えるだけだそうです。)

両方の店とも、内装工事を頻繁にして店の雰囲気を変えることは出来ませんので、彼の判断で数か月に1回、観葉植物の大幅な入替を行うそうですが、その場合、弱った植物を陽が良く照る店に持参し、元気一杯の植物は陽の当たりの悪い店に持っていくなどで、極力持帰る鉢は少なくしていたそうです。

元々桂林は、冬の一時期を除き、湿潤な亜熱帯気候なので、観葉植物は元気が無くなった時に、鉢の肥料交換と陽に当てることさえしてあげれば、問題なく育つ様です。

彼は、自分の借りているマンション以外に、寝場所を6~7か所持っていると言いました。ある時、その寝場所の一つに行きましたが、それは小学校内にある管理者用の宿舎でした。決して部屋は綺麗ではありませんが、自分の布団を持ち込んでおり、時々ここに泊まるとのことでした。彼は他の小学校にも、自分用の部屋を持っており、賃料はどこもタダとのことでした。

何故こんなことが出来るのかと聞いたところ、小学校にある温室の管理や花壇の管理(施肥、水やり、種蒔き、植替え等)を彼の部下にやらせているからとの説明でした。         当時、彼の従業員も数名いた様で、彼らも小学校の宿舎で寝起きしていました。

温室を見せてくれるというので見に行ったところ、小学校の温室の中は、学校のものと言うより、彼のレンタルで貸し出す観葉植物で溢れていたのには、驚きでした。         こんなことは、日本では考えられない事です。

彼は、小学校の温室をレンタル植物の置き場、元気の回復施設として使っていた訳で、幾つもの小学校の温室に置くことで、運搬等での商売上の利便性を確保していました。

ひょっとすると、彼の事なので温室の管理は別として、花壇の管理については種代等の名目で、各小学校に対して、それなりの費用請求していた可能性も拭えません。

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