【黄さんのビジネスと周囲の人々】8.黄さんの恋人

一度食事しながら、黄さんはどんな女性と結婚したいのか、聞いた事がありました。 彼は迷うことなく、『お金持ちの家の女性』と即座に回答しました。

私が意地悪く、『機関銃の連発、ブス ブス ブス でも、良いのかい?』

更に、『胸が凹み、女性として性的魅力に欠ける女性でも OK  ? 』

彼の答えは変わらず『お金持ちの家の女性、他に望むことはないよ。』と言いました。

私は、『それだったら上海に美人ではないけど、父親が化学の会社を経営している女性を知っているよ。上海の一等地のマンションにワンフロア―所有しているよ。他にも数個上海にマンションを持っている様だ。』と言うと、『是非、是非、紹介して欲しい。紹介してよ~。』と笑いながら、言いました。

実は彼女は、1年前に結婚していたのですが、黄さんの反応を見ようと、冗談交じりに少し嘘をつきました。そんな話をして、2~3ヶ月経った後の事です。

黄さんと良く行く三里店(場所の名前)の料理店の2階で下が見下ろせる場所で、料理の注文を先にして彼を待っていたら、黄さんが真っ赤なスポーツカータイプの車から出て来ました。(ただ運転していたのは、若い女性でした。)

そして彼の後から、背がさほど高くなく155cm前後だと思われる若い女性が、一緒について上がって来ました。私は、車もそうですが、その女性の服装のセンスの良さから、これはきっと金持ちの娘に違いないと思いました。

2階に上がって来るなり、彼は私に『彼女は、私の恋人です。』と紹介して呉れました。しかし、私が期待したブスではありませんでした。綺麗なお嬢さんタイプの女性でした。           私は、『結局黄さんだって、綺麗な女性と結婚したいんだ。まあ、まともな判断だと。』自分では納得しました。

ここで、その後の展開に関係するため、少し別の話を致します。

黄さんが、観葉植物のレンタルの仕事をしている内に、誰かから聞いた情報でしょう。         昔私に、こんなことを話してくれました。

『(地方)政府が、高速道路を新しく作る場合、一定の距離毎に街路樹を植えているけど、この時の植木1本の買取価格は、2000元にもなるよ。政府の役人の袖の下もあるし、山をひと山とか、ふた山、必要によっては、み山買って、木を選別・移植の作業もあるから大変だけど、本数が多いので莫大なお金が入ってくる。』                      『僕は、こういう仕事がしたいんだ。だけどコネが無いから、政府の仕事に参加できないんだ。』

《試しに試算してみました。:                            10m間隔に道の両側に植樹するとして、100mで20本、1Kmで200本、10kmで2000本、100Kmだと2万本になります。                           100kmと言っても、国が広く、桂林市だけでも日本の九州の3/4もある様な所では、100kmなんて近距離にしか過ぎません。市と市を繫ぐ幹線道路の距離だけでも、道も曲がりくねっていることを考えると、500~1000km程度はあると思われます。2万本✕2000元×15円/元と仮定すれば、僅か100kmだけで6億円になります。                     いろいろ経費や袖の下を払っても、2~3億程度の利益は出るでしょう。》

2000元というと、たった1本の木だけで、当時の桂林の人の月収の2倍、言い換えると2人分に相当する訳です。高度経済成長の今の中国では、桂林では月収は1500元から2000元だと思われますが、木の買取価格もそれに呼応して、3000元になっているかも知れません。

さて、話を元に戻します。彼は、彼女が少し席を空けている間に、彼女の素性を話しました。

彼女の父親は、日本でいう道路公団の上の方だということ。彼女の話では、父親は、殆ど職場に出向かず、ゴルフと麻雀と外での飲食に明け暮れる毎日であるという事。

業者からの贈物も、毎年1部屋に収まり切れない程になること。そのためこれらの品物は部屋一杯になったら全て売却し、その部屋を貰い物置場として空けているという事。

彼女も父親と同じ企業に通っているが、毎日昼食と昼寝で2~3時間自宅に戻っている事等を 私に話して呉れました。私もこれで、少し納得が行きました。

彼は彼女と同棲している様だし、彼女と結婚し、新設する高速道路の植木を受注するつもりだと、朧気ながらに先が読めました。

2人と会って更に1ヶ月位経った後、黄さんから電話が掛かってきて、彼女の家の内装工事をしているので見に来ないかと、誘いがありました。

中国では、マンションを始め、コンクリートの建物は、殆どがコンクリートが剥(む)き出しの状態でのスケルトン渡しとなります。                         ですから建物を購入した人は、建物の購入費に加え内装の為の工事費も、負担しなければなりません。                                      このため中には、建物購入費が精いっぱいで、内装工事は数年先にするというケースも多く見られます。

黄さんは、日本で銀座のクラブやバーなどの内装工事の経験もあり、自信を持って、彼女の家の工事を引き受けた様でした。                            彼女の新しい家は、敷地約100坪ほどで、屋上に出ることが出来る3階建のコンクリートの一戸建ての建物で、近隣には同様のコンクリートが剥き出しの建物が幾つもありました。  場所は、桂林の中心街からは、車で30~40分という所でしょうか ?

内装工事が完了し、入居済みの家もちらほら見えますが、恐らくこれから本格的に売りに出されるのでしょう。しかしマンションと違い、戸建ての規模からして、普通の会社の社長程度ではとても手が出ない物件です。

庭には、曲がりくねった池も出来上がり、黄さんが持ち込んだと思われる植木も、庭のあちこちに植えられていました。                              建物の建坪はハツキリ分かりませんが、やはり100坪程はあったのではないかと思います。私が見学した時点では、黄さんが4~5人の職人を使い工事をしていましたが、まだ全工程の1/3程度に留まっていました。

その後黄さんともしばらく疎遠でしたが、後日会った時建物のことを聞きましたが、余り話をしては呉れませんでした。                              彼は、『一緒に生活して見て、余りに我儘な性格だったので、彼女とは別れた。』と言葉少なく、話しました。                                  ただ私には、目の前に「高速道路の植木工事の受注」という、黄さんの夢がぶら下がっているので、とても黄さんから別れ話を持ち出したとは思えません。              私が想像するに、彼女は建物が完成し目的を達成したので、彼を振ったのではないか ??? と思いました。                                    ひょっとすると、彼女や彼女の両親にも気に入って貰おうと、内装工事を綺麗にかつ立派に仕上げるため、彼自身の費用持出しも大きかったのではないか、と思いました。       彼女に振られたことで、その費用回収も十分出来なかった、或いはタダ働きに近かった可能性も予想されます。

もし私の予想が的中していたとしたら、目的の為には手段を選ばない、中国の男と女の騙し合い、本当に怖いものです。

ただ金銭問題なので、騙された悔しさはあっても、失恋の悲しみは無いと思われるのが、せめてもの慰めでしょう。

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