自貢(ズーゴン)への誘(いざな)い (1)  

私が成都で働く様になった時、私個人への待遇とは別に、社員が目標を持って働くことが大事と考え、社長へ売上目標の設定を提案しました。

社長も私の考えに同意し、1日の売上額が目標額を越えたら、私に2000元(約30000円)を自由に使わせると言う約束をしました。

社長は従来の売上額を基に、中々越えられそうにない高めの額を設定し、目標値としましたが、私が赴任してから直ぐに目標額をクリアーしたため、驚いた様でした。

最初は、会社の仲間7~8人と一緒に夜食事したり、カラオケに行ったりしていましたが、与えられた金額が少ない為、食事とカラオケを同時に一晩で行くことは出来ませんでした。

そうしている内に、1週間に2回ほど目標額を越えた日もあり、2回分の資金を基に、一晩でカラオケと食事の両方行く様にしました。                        カラオケは、日本の歌が殆ど入っていないため、私自身は殆ど聞き役でしたが、中には歌が 上手な女性もおり、結構みんなで楽しく過ごすことが出来ました。            食事も、デパートの最上階がバイキング方式のレストランになっている所や、比較的内装が綺麗な本場の辛い四川料理店など、あちこち行きました。

社長は、どんどん売上が増えるのは歓迎するものの、私に1回2000元を払う日も多く、出費することが惜しくなったのかも知れません。                       或いは社長は、*配下の他部門社員の待遇とのバランスが気になったのかも知れませんが、回数を減らそうと私に、目標額のアップを要求して来ました。

*余談ですが、社長は、観光客相手の宝飾店,茶荘等の店舗を成都市、九寨溝に持っていました。ちょっと変わったところでは、劇団を所有しており、有名な四川の変面を始めとする 「川劇(せんげき)」は、彼の主催によるものです。                                                          私も妻が成都に来た時、社長から一緒に見せて貰いましたが、結構楽しむことが出来ました。

写真は、成都の錦江劇場

http://4travel.jp/travelogue/10603559

http://4travel.jp/travelogue/10603848

http://4travel.jp/travelogue/10603800

私は目標額アップに同意しましたが、その一方で私も更に、社員の教育に磨きをかけました。目標額アップにより多少回数は減ったものの、それでも少なくとも、月に2回程度はみんなで食事後はカラオケをセットにして遊びました。

時間が経ってもみんなで飲み食いの回数が減らないため、更に社長は、出費を減らそうと2回目の目標額のアップ(都合3回の目標設定)を提示して来ました。

それでも目標額をクリアーしておりましたが、例の尖閣列島の事件が起こるまでは、コンスタントに観光客の来店があり、売上を順調に伸ばしていました。

自貢(ズーゴン)と言う場所を知ったのは、偶々(たまたま)夜みんなで食事した料理屋に飾ってあった、次の写真でした。

一体全体、これは何だろうかと、気になりました。

また3番目の写真は、皆さんに笑われるかも知れませんが、私が昔この様な櫓(やぐら)を組んだ木に登り、真っ逆さまに落ちる夢を見たことがあり、特に気になりました。                          そう言えば、写真の右端の男は、太い櫓の陰で力仕事をしないでぼんやりとしており、何となく私に雰囲気が似ている感じがしないでもありません。・・・・・・???

仲間を通じて、料理店の年老いた経営者に聞いて貰ったところ、これは、今は無き自貢(ズーゴン)の鹽井(塩井)の写真であることが分かりました。                   これらは地中深く井戸を掘り、鹽交じりの水を汲みあげ水分を蒸発させている家々の写真(最初)、鹽水を蒸発させ作った鹽(しお)を実際に売買する取引所と、川の上流と下流から鹽の買い付けに来た沢山の小舟の写真(2番目)、井戸を深く掘るための櫓(やぐら)を組む作業(最後の写真)だった訳です。

この店の料理は四川料理特有の辛さも無かったので、私は仲間を誘い何度か来て美味しく食しました。                                      日頃からお客も沢山入っていましたが、年老いたこともあり、経営者が権利を他人に譲ったのだと思われます。私が日本に帰国する前には、経営者が代わり別の中華料理店になっていました。

成都から自貢迄は、170~180kmあります。バスも通っており、3~4時間で行くことが出来ることが分かりました。                                今は仕事で動けないため、後日暇が出来たらヒョウさん(彼女は、井戸がある場所を知っているとのこと。)という会社の女性から、『自貢(ズーゴン)』に案内してくれると言う約束を取り付けました。

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