【精進料理店】16.私の損と日本企業の損

室内の内装工事等は、昼間の本業が始まる前の午前中の空いた時間とか、仕事が終わった後、午後4~5時に駆け付けて工事の指示を出しました。静慮荘の開店後は、略毎日夜に店の売上と仕入の帳簿のチェックを行って来ました。

こんなことを書くと、『ほんとかなあ。』と思われる方も多いと思いますが、実は桂林は夏だと夜8時近くまで結構明るいのです。                                                                          ですから仕事を二つ懸け持つにしても、問題はありませんでした。

私が精進料理店『静慮荘』の出店工事や店の運営赤字の補填等で発生した金額は、今は帳簿も残っていないためハツキリしませんが、400~500万円位では無かったかと思います。

皆さんの中には、中国まで出かけて馬鹿なことをしたものだと考えられる方も居られるでしょう。そうかも知れません。                              ただ私の場合、日本からの送金を元に投資した訳ではなく、全て中国で稼いだお金を再投資したものです。

延べ床面積100坪強、従業員10数人の店を、日本の何処に出店するか場所にもよりますが、私と同じ様にテーブルやイスの手配やトイレや汚水槽の改修工事から始め開店すると、日本だと1年間経営すると幾らかかるでしょうか?

人件費等が高い日本だと、少なくとも1億円程度の出費は覚悟する必要があると思います。   私は、日本の普通のサラリーマンだったら、思いは有っても決して実行には移せないことを僅か400~500万円で行い、私自身日本人の二倍生きていると言う気持ちで、日々新たなトラブルも新鮮に思え、充実した日々を過ごすことが出来ました。                                         元々この店で必死になって儲けるという気持ちより、実際に中国で店の経営を体験することに重きを置いていたため、気分的にも楽でした。

さてこれからが、私が主張したい事柄です。

私の場合、400~500万円の損で済みましたが、中国で周りから聞こえてくる日系企業の話は、本当に酷(ひど)いものです。私の損など、中国への進出した日系企業の損と比較したら、鼻くそ程度にもなりません。

人件費が安いと言う理由。それから、罰金子(罰金を払い戸籍上の届出を行う子)や無戸籍子(一人っ子政策に違反したための罰金を逃れるため、親が二人目以降の子供の出生を役所に届け出ない子や愛人との間に生まれた子)の存在もあり、実数が不明で13億人とも14億人とも言われますが、インド等とは異なり、中国の巨大な生産人口は、所得も増えてそのまま消費人口に結び付くと言う理由で、一部上場企業から中小企業迄かなりの企業が、中国に進出しています。 しかし中国で上手く行っている会社の名前は、殆ど聞こえて来ません。          騙された、大損した、乗っ取られた等の悪い話ばかりです。               日本では、中国での成功事例としてマスコミに登場する会社もありますが、(具体的に社名はあげませんが)時間の経過とともに色褪せ、損出を膨らませている会社も沢山あります。

日本人は、身近な人にヒソヒソ話はするものの、『日本文化は、恥の文化』(ルース・ベネディクトが著した「菊と刀」で書いた)と言われる様に、会社の恥も必死で隠そうとします。       この文化が、日系企業を死屍累々たる有様にしてしまう訳です。                                     逆に中国人は、血の臭いを嗅ぎ付けるサメの様に、どんなに遠方の話であっても、金儲けの話には敏感なため、金がある日系企業や日本人を騙す方法や乗っ取り方法を、立場を超えて共有し、益々金儲けに走る為、同じパターンでやられるケースが続発しています。

許認可を与える地方政府の役人、税務署員、工場や会社の従業員、争い事が起これば弁護士や裁判官にもむしり取られ、ひどい場合撤退企業は、後から述べますが、人質を解放金としてまでむしり取られる有様で、撤退そのものも瀕死の重傷での撤退です。           だから投資資金が全く回収出来ない程度で終れば、まだ幸運と言えるでしょう。

人件費に重点を置く企業の中には、中国の工場をたたみ、ベトナムやインド、バングラディッシュにシフトする企業も出て来ていますが、私から見ると、中国での失敗をベトナムやインド等で取り戻すことは絶対無理で、同じ過ちを他国で犯すことになると思っています。    中国の経済が飛翔する段階に入ったのは2000年以降だと思いますが、インドやベトナム等の飛翔段階はこれからだと思います。

中国が輸出・輸入で貿易額が拡大し、工場従業員等の給与所得者が増え、国民がどんなに豊かになったとしても、長い間の『ゼロサム社会』(経済成長が停止して 資源や富の総量が一定となった場合、儲ける者がいても、損する者がいても合算してしまうと、増減が無いゼロになる社会。)に横たわる考え方は、基本的にインドでもベトナムでも、同じだと思います。

即ち国富が限られた中で、中国では一部の既得権益者層を除く、十数億近くの人々が日々生きていくために、騙し、騙されの富の争奪戦を長年やって来た訳です。中国では『騙すより、騙される方が悪い。騙されるのはバカだ。』と言う言葉を良く耳にします。         以前【桂林だより】の中で書きましたが、刑務所に入っている人間の数だけでも80万人もいます。年間の死刑者数も1700人以上です。(2008年の統計)                それ以外の詐欺、窃盗、強盗等(日常の犯罪そのものの数が多すぎて、金額が余程大きいか、命を失いかねない事態でないと警察は動かない。)の警察に見逃された犯罪、言い換えると方法はどうであれ、お金が無い者が、お金があるものから奪うという、行為そのものが、中国における人々の所得の均等化に、役立って来たと思われます。

私に言わせると日本が『恥(はじ)の文化』なら、中国は法治国家を標榜しない『奪(だつ)の文化』です。

だから長年中国国内で繰り返し続けられた富の争奪戦の中に、日本企業が突然入って行っても、赤子の手をひねる様に、騙されたり乗っ取りに遭うのは、ごく当たり前にしか私には思えないのです。

この意味で、インド人やベトナム人等は、日本企業を迎える10年余りは技術や知識の習得に勤(いそ)しみ、おとなしく従順でいるでしょうが、インフラも整い、経済成長が加速して来ると起業資金も整い、中国と同じく日系企業にとっては、乗っ取りや詐欺で被害が多発する、危うい国に変貌して行くことでしょう。                                                                            但し経済成長する過程で、国として法が整備され法治国家としての体制が調えば、『奪(だつ)の文化』から抜け出せる可能性もあると考えます。

ことを個人の意識から、国家の意識まで敷衍(ふえん)して考えると、地球全体の天然資源(存在する場所によって地下資源,地上資源,水産資源に,また用途によって食料資源,原料資源などに分類される。)が、概(おおむ)ね増えもしなく減りもしないゼロサムであることを考えれば、彼らには元々、地球の天然資源を平和裏に分かち合うという発想は無いと考えます。

中国は国家として、軍事力や蓄えた経済力を駆使し、将来に向かってますます『奪(だつ)の文化』を具現化した事件を、繰り返すであろうと予想します。

余談ですが、数年前、築地での新春のマグロのセリで、香港の金持ちに、千万円単位でマグロ1体が落札されたことがありました。また今年の秋、太平洋上で数百隻単位の中国と韓国の漁船が魚群探知機を操作し、集魚灯を照らして沢山のサンマを取っているニュースもありました。『日本に旅行した時、口にしたカニ(タラバとかワタリガニの類)が美味しかった。今は、こうして中国でも食べることが出来る。』と中国のレストランで食事する家族のニュースもありました。

オーストラリアでの牛肉の買い負けだけでは無く、日本の商社がロシア、カナダ、アメリカなどから買い付ける海の幸でも、中国に買い負けるケースが増えています。         一昔前なら、中国が経済的にも貧しかったことや日本食に接する機会が少なかったことで、海の魚介類に興味を示す人は多くありませんでした。

しかし味の良し悪しはあっても、中国にも、アメリカにも、ヨーロッパにも、天婦羅、寿司、豚カツ等の日本食の店が増えた事、旅行で日本に来る観光客が日本料理の美味しさを発見したこと、豆腐や納豆等や魚介類を中心とした日本食は健康に良いこと、言い換えると日本食の認知度が増し、日本の食文化が世界へ広がって行ったことで、食材が値上がりし、結果的に将来に向かって益々日本人の口に、日本の美味しいものや庶民の味が、手に入りにくくなりつつあることは、悲しい現実です。

日本政府が『観光立国』を標榜し、観光客を世界中から日本に呼び込むことをサポートするのも、日本企業が日本の食文化を、加工食品輸出や現地生産等の手段を以って、世界中に広げてお金を得ようとするのも、何れも日本に一時的な富をもたらすものの、時間が経てば日本人の首を絞めることになるのではと、危惧致します。

特に『奪の文化』を抱えた十数億の人口を抱えた国がすぐ近くに存在することは、魚の例に見られる如く、生産(底引き網を使った一網打尽の漁法)と消費(世界中から高値での買い漁り)の二面で大きな脅威と言えます。                            冷凍運搬技術が進んだこともあり、川魚が主流だった桂林に限らず、更に遥か内陸部の成都でも、大型スーパーでは、鮭とかサンマ , 鯵 , 鯖 , イカと言った海の魚が、日常的に売られるようになりました。

《 川魚について、もう少し私の知る範囲で書きます。皆さんは川魚と言うと、小魚というイメージが強いと思いますが、市場や料理店の「いけす」には、ブリ程度の大きさの川魚が結構います。川も日本とは異なり、川幅が大きく水量も多いし、季節の集中的な降雨の為、陸地の栄養分がかなり川に流れ出ます。                                                                               この為か、川の魚と雖も、日本では見られない程の大きさの魚に成長します。                    ただ全般的に川魚は小骨が多く食べにくいのと、魚自体に回虫等の虫がいるため、刺身の様な生食には適しなく、煮物とか鍋物の食材として使われます。

また海の魚を内陸部に運べば運ぶほど、運送時間がかかり魚が傷むため、航空機を使った輸送や冷凍運搬車が出てくる前迄は、海の魚の消費は沿岸部に留まりました。この為内陸部では、従来から川魚の方が、身近な食材として使われてきました。》

現在中国では、日本の平均所得と同じか、それ以上の所得レベルの人々の数は、既に1億人前後(総人口を14億の人口と仮定すると、7%にしか過ぎない。)いるものと思われますが、今後 更に増えていく事でしょう。                                                                                     これらの経済的に余裕のある人々が、良質のタンパク質源として肉や海の魚を求め、世界中から買い付ける行動を加速していくと、その多くを輸入に頼る今の日本人の食生活にも、悪影響が出てくるのは間違いありません。                                                                            だからいずれ日本でも、サンマ1匹、300円とか500円の時代が来るかも知れません。その時、庶民の私たちの口に入る魚があるのか、不安を感じざるを得ません。

更に情報として付け加えると、中国人の経営者の中には、オーストラリアの牧場を買収し、直接牧場経営に乗込む人たちも出て来ています。牛や羊や豚などの全量を中国に輸出し、利益を上げるためである事はもちろん、長期的に肉の安定供給を確保する為です。

最後に、中国に進出した日本企業の失敗例を二つ、日系企業の乗っ取りパターンを一つ挙げたいと思います。

(K社の例)

内容は、K社の社員の人から、直接聞きました。

K社は東京に本社を持つ中堅の会社で、私が桂林に行く数年前に桂林の郊外(但し郊外と言ってもかなり桂林市街より離れているとのこと。)の周囲を農村に囲まれた工業団地に進出し、電子部品の工場を造ったそうです。

K社が中国に進出した最大の理由は、人件費の安さだったとのことです。

上海や深圳等の沿海部は既に多くの企業が進出済みで人件費も高く、内陸部にある桂林はまだ当時人件費も高くなく、工場を誘致する為、市として税の優遇もあったそうです。

しかし実際に工場を建てることとなり、建設工事に入ると私がトラブルに遭遇した様にいろんなトラブルが発生したようです。

建設工事現場の労働者による資材の持出しはごく当たり前の世界で、これを防ぐために雇った警備員ですら、盗みにタッグを組む状態だったとのことです。

もしK社が、日本から何らかの部品製造機械を持ち込んでいたとすると、これも本当に大変なことです。

例えば、私が日本から1セット15万円程度で購入した「たこ焼き機」「キャベツスライサー」等を日本から送り、中国の私の手元に届く迄約2ヶ月を要しました。最初に日本で、中国へ運んでくれる運送会社を見つけるだけでも大変でした。                                      一応名前が知れた大手の運送会社に依頼しましたが、送り先が中国だと責任が持てないとの理由で、全て断られました。結局私の知人の世話で、万一品物が届かなかった場合でも運送会社は何も責任を負わないという誓約の下、運んで貰うことになりました。

袖の下を含む桂林の税関に払った費用と、何回も桂林空港へ受取りに出向きその都度空で帰ることを繰り返すのに要したトラックの手配費用と、空港での一時保管費用の合計額は、機械の購入費に略匹敵しました。(この中には、日本で払った運賃は入っていません。)

税関の職員は、私から「たこ焼き機」「キャベツスライサー」等を取上げ転売しようと画策した節があったため、こちらも意地になり、空のトラックを何回も走らせても必ず品物を引き取るという気持ちで対応しました。結局2ヶ月程時間はかかったものの、やっと私の手元に確保する事が出来ました。                                この間、「たこ焼き機」「キャベツスライサー」の領収書、パンフレット、図面、使用金属の成分表に至る迄、税関から提供を求められる有様で、詰まるところこれらの資料を税関職員は、中国の関係する業者に製造する為のノウハウとして、転売していたと思われます。

私の場合でもこんな有様ですから、工場の製造設備の持込であれば更に大変だと言うことは、疑う余地がありません。

地方政府の企業誘致の熱意にも因ると思いますが、特にコネがない状態での、工場建設の許認可、操業許可の取得の大変さは、私にはある程度予想出来ます。             年数は聞いていませんが、工場の稼働まで数年かかったのではないかと思います。

操業開始して当初はそんなに問題は無かった様でしたが、比較的上海や深圳に近いという地理的に恵まれた工業団地であったことから、次第に中国国内の会社がここに進出して来たそうです。

労働者は周辺の農村の人々に限られ、桂林の人口が多い都市部からは、とても通勤出来ない地域(桂林市の面積は、日本の九州の3/4もの広い面積)であったため、工業団地内で限られた労働者の奪い合いとなり、作業員もより給料が高い会社へ替わる事が繰り返され、いわば給料の上昇スパイラルに巻き込まれたそうです。                       そして十分に工場が稼働しないうちに、工場の閉鎖に追い込まれた様です。

工場を閉鎖することを知った従業員は、(短期で解雇・退職や再就職を繰り返す労働者が多い中、中国の企業であれば有り得ない話ですが)、日本企業から取れるだけの金を巻き上げる手段に出て来たため、その為管理職の日本人社員は、疲労困憊の様に思えました。       この内容は、次のL社の例と似ていますので、こちらを読んで下さい。

(L社の例)

L社(Lは会社の頭文字をとったものでは無い。)は、一部上場の日本では誰でも知っている一流企業ですが、間接的に仲間から聞いた為、一部正確さに欠ける部分はあるかも知れませんが、ご了承願います。

この会社も、中国の労働力の安さに魅力を感じて進出しましたが、人件費の上昇もあり、工場をたたむことにしたそうです。                            そうすると従業員は、勤務している会社が日本の企業であることから、給与の更なる増額、 退職金の要求、再就職の保障等考えうるあらゆる事項を工場長へ突きつけたそうです。   こんなことは、勤務年数が長く定年まで一社に留まる事が多い日本では有り得る話ではありますが、社員の勤務年数が数か月~数年の非常に短い中国の一般企業では、全く有り得ない話です。                                        労働者との争議の中、過大な要求を受ける中で、生産を縮小し工場の閉鎖に向けた準備をしていると、労働者の代表が地方政府に話を持ち込んだため、政府から圧力がかかったそうです。(事が大きくなる前、コネを頼りに地方政府の上層部に袖の下を支払えば、ここまで大きくならずに解決出来た可能性もあったのかも知れません。)

地方政府も、企業誘致の為の過去の税優遇を破棄し、税金未納の滞納企業に指定しました。 L会社自身も、従業員へ本来支払うべき給料を滞納した外資企業として、烙印を押されたのでしょう。                                      結局工場長は、日本に帰国しようとしても税関ではねられ、帰国出来ない、半ば犯罪者扱いとなってしまいました。

要は、お金を要求通り支払うまでの人質という結果になりましたが、その後はどの様になったかは分かりません。

(日系企業の乗っ取りのバターン)

①日本人は金を持っていると考えてか、中国人の方から、日本人に声を掛けるケースが多い様です。私が黄さんに会った時も、向うから声を掛けて来ました。或いはビジネスショウでのコンタクト、中国での商談時など、いろんなケースがあるでしょう。

これはリョウさんから聞いた話ですが、皆さんは『釣魚台(リャオ イュー タイ)』という言葉を知っていますか?  日本語では、『ちょうぎょだい』と発音されていますが・・・・・。 (ただし尖閣列島の魚釣島とは、全く無関係です。)

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ウィッキ―ペデァには、北京市海淀区にあり、2000年頃までは国内外の賓客のための迎賓館として使われていたと書かれています。その敷地の広さは、南北1km、東西0.5km、総面積42万m2。湖水部分の面積は5万m2。                           建物の総床面積は16.5万m2と、規模の大きさに圧倒されます。

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ここにビジネスで手を組みたい日本人を食事に誘い連れてくると、大半の日本人というか、100人が100人とも「接待した中国人はただ者ではない、きっと中国政府の要人と大きなコネを持つ人物だ。」と、誤解するそうです。

しかしウィッキ―ペディアにも書かれている通り、本当は予約さえ取れれば、誰でも使える施設なのです。 宿泊だって可能です。政府そのものが、敢えて中国人の個々のビジネスが上手く行くように、お膳立てをしてあげている訳です。これが、騙しの第一歩になります。

なお余談ですが、釣魚島迎賓館と言うと一番最初の写真は非常に有名な建物らしく、日々のレートで変動がありますが、1室1泊500万円を超える宿泊料の部屋がある建物です。

ただ私から言わせると、売る方或いはサービスを提供する方の中国人は、時として途方もない金額を付ける一方で、金を持て余すほどの客は、成金趣味と言っていいのか、他人への自慢話としてスティタスを保つために、利用したり、物を購入することはしばしば見られます。  しかしながら、実際は付けられた値段にふさわしいサービス提供や商品では無いケースが、 目立ちます。                                    桂林でも中国産ワインに、何万元もの値段が付けられていたのを見たことがありますが、これ等が良い例でしょう。

釣魚島迎賓館その他の写真は以下をご覧ください。(著作権の関係で、抜き取ることは、止めました。)

(https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E5%8C%97%E4%BA%AC%E9%87%A3%E9%AD%9A%E5%8F%B0

②次に会社を設立する時、合弁会社か、単独出資かにもよりますが、私が会社設立を摸索していた2010年頃と比べ、今はだいぶ変わっているかも知れません。

中国政府の厳格なコントロールの下、外国資本を最大限に呼び込む為の法律が作られておりました。政府が指定したビジネスの範疇毎に、出資すべき最低資本金が決まっており、その金額はどの範疇も私個人ではどうしようもないほど、大きな資本金が必要でした。

(一方中国人自身が会社を設立する場合は、さほど細かな制限がなく、直ぐに設立出来ます。 ただ中国での会社設立においては、日本と異なり、企業目的は1項目のみで、日本の様に定款に複数の項目を列記した申請は認められません。これは国として、より多くの会社設立を促すことで、中国人の雇用を増やすことに結び付けるためだと思われます。)

ただJETRO(日本貿易振興機構)の人に聞いた限りでは、生産でなくサービスの範疇なら、〇〇コンサルタントとすれば資本金を低く抑えられ、私でも何とか資本金をクリアー出来そうな額でした。(これは、中国企業の技術力アップにつながると考え、また企業の規模も小さいと考え、資本金を低くしたのだと推測されます。)

それから合弁会社にした場合、知人の2人の中国人が出資し会社を作ったが、資本金が不足している。しょうがないから、会社設立後に日本人に声を掛け、出資して貰う様な形にしなければ、私が会社の経営に乗り出せないと、言うことも分かりました。

ただその場合でも、私の持ち株は、50%を超えられなかったと記憶しています。

日本の一流自動車メーカーも中国に進出していますが、これは両国政府や通産省等の関与などもあり、また別のスキームがあるかも知れません。

(余談ですが中国の自動車メーカーは、2010年当時で100社前後あると聞き私もビックリしました。この中には部品メーカーは入っていません。完成車メーカーのみです。今は、もっと集約されているかも知れませんが・・・・・。)

ただ全般的に見て、日本人や日本企業等の外資に非常に不利なルールとなっており、このことが中国人経営者の乗っ取りをし易くしている素地にもなっていると思われます。

外資に不利なルール、これを避けるため資本の大半或いは全額を表面上は中国人が出資した形にしているが、実際は全く逆のケースである場合、関係する中国人との間に亀裂が生じると、乗っ取られ易い事態になります。

③会社設立し、工場が稼働し始めます。

実質的に僅かな資金しか出資しなかった中国人パートナーは、当初は会社の円滑な運営のため、税務署、警察、工場稼働に必要な許認可の政府機関など足繁く通い頑張ります。

最初は工場が赤字続きのため、追加の資金を日本から投入して、何とか軌道に乗せようと頑張り、数年後やっと黒字に漕ぎつけます。

そして中国での黒字が定着してきた頃、中国人パートナーは、初めて本性をむき出す訳です。仕入額、売上のごまかしから、やり方はいろいろでしょう。

一例ですが、日本の経営者へ株の買取と日本企業の退去を要求するケースもあります。   株の買取と言っても、建前だけのほんの僅かな金額です。                しかしなぜ株の買取を提案するのかと言うと、(実質的には乗っ取りなのですが) 株を買い取ったと言うと、周囲にも自慢話として話し易いし、他人から見たらあの人は、日本企業の株を買い取った金持ちだとの評価が高まり、本人のプライドを満たせるからです。

株の売却を拒絶すると、労働者の煽動、税務署への脱税密告から始まり、最後は、工場の操業の許認可を有する政府機関幹部への、乗っ取り後の分け前の提示にまで至ります。

日本の企業幹部も、許認可が認められない以上、無視して操業すると手が後ろに廻りかねないため止む無く株を手放し撤退する、この様な買収のパターンが中国人の間で共通の認識になっています。

仮にその様なことが無くても、中国の為替管理制度が厳しく、日本へ中国で上げた利益を還流出来なく、仕方なく中国国内で再投資せざるを得ないということも良く聞きます。

日本の一流自動車メーカーはどの様にして、日本に利益を還流しているのか分かりませんが、世界中でパーツの仕入から完成車迄の販売をしている関係上、国家間の貿易取引の中で、ドルに換えて上手に還流しているのかも知れません。

ただ先般ドイツのメルケル.首相も、中国に対し、進出企業の利益の本国還流が上手く行かない点を問題視していたため、各国とも不満を抱いている問題であることは、間違いありません。

これで【精進料理】の部は、終わりとします。

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