モンスーンがもたらす躊躇(ためら)い (1)

中国との間で大きな事件となっている尖閣列島帰属問題は、日本領海内(島から半径22Kmの海域で日本の主権が及ぶ範囲)侵入接続水域内(島から半径44Kmの海域で、領海に接続する一定範囲の公海海域で,警察,関税,衛生など国内法の履行を行使することが出来る範囲)侵入が常態化しており、ニュースに載せられても、またかと言う感じになっており、次第にマスコミが取上げる機会が少なくなって来ています。

2017年以降 中国政府も、表面的には現時点で日本政府との関係改善を考えており、台湾や香港からの愛国主義者の尖閣上陸等の突発的な事件は別として、大量の偽装漁民を尖閣周辺へ差し向け、両国間の緊張を保つことを中止している様です。

尖閣の日本領土であることを示す証拠の一つを、以下に加えます。

中国政府は、琉球諸島への米軍の占領と基地化へ反対
琉球諸島は、台湾の東北から九州の西南にかけての海上にあり、尖閣諸島、先島諸島、大東諸島、沖縄諸島、大島諸島、トカラ諸島、大隅諸島の7島に加え、50島以上の名前がある大小の島や400余りの名前の無い島の面積の合計は、4670K㎡になる。』と書かれている事からも明らかな様に、中国共産党の機関紙、即ち中国政府自身が尖閣諸島は日本に帰属する島々ということを自覚していたことは明らかです。

しかし、1969年5月『 国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の沿岸鉱物資源調査報告』で、東シナ海に石油埋蔵の可能性ありと指摘されたことが、大きいと思われますが、
1971年 中国及び台湾が突然、公式に「尖閣諸島の領有権」を主張しました。
(台湾の主張=「外交部」声明:6月、中国の主張=外交部声明:12月)

特に最近、海軍の強化にも力を注ぐ中国にとって、尖閣諸島を手に入れることは、限られた太平洋への出口を確実に確保すると言う、軍事的な意味合いも大きいと思われます。     更に台湾の政権に圧力をかけると言う意味では、将来においては港を造り、諜報活動の為の通信施設やミサイル発射設備を設置する可能性も考えられます。

石原東京都知事が列島を東京都が買い取ると言う事態が発端で、中国との間の尖閣列島領有権問題が、民主党政権時代から影を落とし始めましたが、特に第2次安倍内閣となり、戦略的に中国を包囲すると言う考えの下、安倍首相の外遊先として、東南アジア諸国の歴訪が目立ち始めました。

中でも従来より中国やパキスタントとの間で国境問題を抱え、また中国提唱の『一帯一路構想』を、開発途上国を借金漬けで身動きが取れない様にしかねないと、否定的な考え方をしているインドとの緊密化や、その他西アジアを含めた中国周辺の国々への外遊が目立ちます。日本のODA(開発援助)出費を東南アジアと南アジアの上位3ヶ国について調べましたので、これを表にしました。

以上は、外務省の外郭団体であるJICA(国際協力機構)作成の資料を私の方で再編集したものですが、最新のデーターが不足しているものの、傾向は見てとれると思われます。

東南アジアでは、従来援助先としてトップだったインドネシアへの支援が少なくなり、近年は中国から撤退した日系企業の進出先であるベトナムへの援助の伸びが目立ちます。2016年度だけを見ても、東南アジア向けODAの52.2%がベトナム1国へ資金提供されています。

また南アジアでは、上位3か国への援助が際立っていますし、インドは既に円借款の累計額がインドネシアのそれを上回っています。2016年度だけを見ても、実に南アジア向けODAの65.6%がインド1国へ資金提供されています。また援助の方法として一時代前は無償資金協力が多かった様ですが、現在は途上国の計画的な自立を促す意味で、援助の大半が低利の円借款となっています。

なお円借款、無償資金協力、技術協力の詳細説明については、外務省やJICAのホームページを ご覧願います。円借款での貸出金利は、年利0.1~1.7%という様に2%を切る金利で長期の貸付を行っています。(JICA担当者に電話確認)

一方中国は、ODAの加盟国でもなく、途上国への長期貸出金利を公表していないので、明確な数字を挙げられませんが、スリランカに対する貸出金利には、最高という前提はあるものの、以下の記事の6.3%という数字からも読み取れるように、かなり高い金利で貸し出しています。こうなると、途上国への援助的色彩は薄れ、抵当権を事前に設定或いは返済が滞る事態が生じたら代替返済を求めることから、純粋にビジネスとしての貸出しとなっています。

https://www.sankei.com/world/news/180105/wor1801050001-n1.html

インドについては、特に2014年9月1日安倍総理大臣は,インドのモディ首相の来訪を受け、東京で日印首脳会談を行ないました。                       そこでは政治・安全保障上の緊密化に加え、今後5年間にインドに対し、ODA(政府開発援助)を含む3.5兆円規模の官民投融資を行うことを約した「日インド特別戦略的グローバル・パートナーシップのための東京宣言」の共同声明に署名しました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page3_000896.html

インドと日本の接近、ベトナムと日本の接近は、皆さんもご存知の様に、領土拡大、更なる地下資源の確保を目指して、軍事力を前面に押し出して来ている中国の力の政策に対抗するために、お互いが関係強化を図ろうとしています。

特に日本にとっては、中国が軍事力、経済力、政治力等をあらゆる手を使い、東南アジアでは南シナ海の9割が中国の領土や支配地域に組み込まれることは、エネルギー資源、原材料、食糧・食品材料等の輸入及び日本からの工業製品の輸出に於いて、南シナ海での海上輸送にも大きな支障を来し、貿易立国の日本の経済的な基盤を失いかねないと言う、安全保障上の大きな問題が内在しています。(日本から離れていることもあり、国民は他人事の様に関心が薄いのですが、実は尖閣列島の争奪どころの話ではありません。)

長年にわたる累積貿易赤字、(第2次大戦後からの)長きにわたる世界の警察としての度重なる軍事出費等で疲弊し、国力の低下が著しいアメリカの軍事力の低下をカバーする為、日本はアメリカ、オーストラリアと組みアジアの周辺国を巻き込んだ安全保障の枠組みを再構築しようとしています。

この政策実現の為の一環として、安倍首相は頻繁な外遊を重ねており、モンゴル(2013,2015,2016年)や中央アジア5ヶ国(2015年)等従来日本の首相が訪れる機会が少なかった中国周辺国への訪問も目立ちます。

また偶然なのかどうか分かりませんが、外務省を中心とした政府の政策の一環なのか、中国人力士はゼロなのに、近年中国周辺のこれらの国々から来た人々の相撲界での活躍が目立ち、両国の友好ムードを高めるのに国技としての相撲は、貢献しています。 外国人の力士数だけでなく、関脇、大関、横綱を見ても非常に国際化が進み、最早日本だけの娯楽ではなく、力士の出身国でも大きな期待を背負った娯楽となっています。

中国がパンダ外交なら、日本は相撲外交という所でしょうか。

入国管理局が発給するビザの種類は不明ですが、相撲に関しては中国周辺の国からの日本への入国条件が緩和されているのかも知れません。

(Visited 419 times, 1 visits today)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする