ビジネスシーズを探す旅 (3)

義烏(イウ)から広東省の広州へは、飛行機で向かうことにしました。

義烏空港では、搭乗カウンター前で、時間を持て余し気味でずっと椅子に座っていましたが、同じフロアーの端一面に、8台程マッサージチェアーが置いてあり、見ていると結構利用者が多いことに気が付きました。

利用料は日本の銭湯等で昔見かけたチェアーの料金箱に入れるのではなく、チェアーを傍で  管理している若い男の人に、直接手渡していました。

中国の他の空港にも同じようなマッサージチェアーを空港に置いている所も、ひょっとしたらあるのかも知れませんが、義烏空港でマッサージチェアーを置くことを考えた人は、お客のニーズを的確に摑むと言う点で、一歩先が読める人だなと感心しました。 

義烏に来た人の大半は、ビジネスが目的で、広いビルの中を歩き回り、クタクタになって、  義烏を飛行機で出て行きます。足は、パンパンと張り筋肉痛となり、また歩き疲れて肩や腰もおかしくなります。そういう事を見越して、搭乗時間までの時間を持て余す客を相手に、このサービスを考えたものと思われますが、その結果、多くの利用者を呼び込んでいます。   料金は忘れましたが、1日だけでもかなりの売上になると思われます。

 余計な話をしてしまいましたが、さて、義烏から広州までは直線距離にして1,300~1400Kmとなりますが、これは直線距離で稚内から広島ぐらいの飛行機での移動となりました。

広州では、バッグと宝石の2種類の品物に焦点を当て、店を回りました。         広州では3泊しましたが、案内は広州に詳しい李マネージャーが行い、私とリョウさんは後から付いていくだけでした。                              ホテルは広州市の中心街でしたので、翌日の移動も比較的簡単でした。

 

翌日、男性用のビジネス用かばんと女性用のバッグを買い求め、タクシーで30分ほどの郊外に行きました。                                    そこは比較的新しい中層のビルでしたが、7~8階の上層階は空きも多く、見て歩いたのは精々4~5階までという所でした。郊外にあること、まだ認知度が高くない事などからだと思いますが、目立つ程お客が入っていた店はありませんでした。

結局、何も買わずに2~3時間ビルの中を廻って、中心街に戻りました。

中心街には、外見からすると東京のオフィス街のビルに似た高いビルが、幾つもありますが、李さんの案内で入ってみて驚きました。

見たのは地下を始め低層階中心でしたが、中はとても1.5mの通路幅では無く、恐らく1.2~1.3m程度の狭い通路幅だと思われますが、面積1~2坪程度の無数の店が林立していました。本当に無数です。日本で似ている状況と言えば、一昔のアメ横とか原宿の様に、狭い場所に沢山の商品が、ところ狭しと置かれている状況でした。

階毎に販売しているものも違うのでしょうが、同一階全てが、バッグやベルトや財布等を販売していました。(建物自体の賃料の回収などは、どうしているのか不思議ですが、恐らくビルの所有者と大きいテナントが契約し、所有者は、f大きいテナントが更に小さいテナントへ転貸を繰り返すのを、許しているものと思われます。)

ビルの中だけではなく、ビルの周囲にも、多くの店が軒を並べて販売していますが、こちらは結構綺麗な室内装飾が施され、売られています。

 私は、1個数百元単位の男性用の鞄・バッグ、女性用のバッグを30個前後購入しましたが、その殆どは上質の革製品を選びました。                        顧客の好みを判断するため、出来るだけ種類を多く購入することにしました。

 

中国に行った当時、桂林で仲間からレプリカという言葉を良く聞きましたが、意味が良く分かりませんでした。

レプリカとは、ヨーロッパやアメリカのグッチやシャネルやセリーヌ等の世界的に有名なブランド製品のコピー商品(偽物)で、特に一見しても分からない程、品物が良く出来ている上、  材料も本物と比較しても見劣りしないものを使っている製品を、最高に評価した言葉という事が分かりました。

良く日本の税関でも、偽物のコピー製品が差し押さえられるケースが多くニュースにもなったことがありましたが、最近は中国のタオバオ等のネツトを通じて、内外を問わず、かなりの偽物が直接取引で販売されています。                          ただお客の中には価格が安いという事で、最初からレプリカやコピー商品だと知った上で、 購入する人々も多い様です。

私は、レプリカを尊重する中国人に対しては、フリーライド(有名ブランドにタダ乗りする)商品であることから、独創性に欠けるという点で、賛同し難いのです。

それでも最近は職人の技術レベルも非常に上がり、有名ブランド品を先生としていた時代から、独自のデザインを基に丁寧に作り上げたものも多くなりました。           例えば、高級品ばかりを扱うデパートとして中国で一番有名な王府井(ワンフーチン:成都にも1店ある。)でも、外国製の製品に見劣りしない中国製の高級バッグが、数多く見かけられる様になりました。

購入したバッグ類は、3人で近くの郵便局まで運び、段ボール箱で成都の会社に送る手配を行いました。

 

次の日は、宿泊したホテル近くに日頃から取引する骨董品店があるらしく、李さんだけ、曼荼羅(まんだら)や数珠(じゅず)や仏像などの仏具を買いに出かけました。                             私とリョウさんは、彼が戻って来た後で、宝石店に案内して貰うことになりました。

宝石店も、ホテルからすぐそこの場所でしたが、高さは10階建にも満たない建物ばかりが近隣にも数棟ありましたが、そのどれもが宝石店で、占められておりました。                           ただバッグを購入した時とは異なり、宝石店でもあることから、各フロアとも綺麗でゆったりした感じでした。

私が実際に宝石を買った店は、パティオ(ロの字型のビルやマンション等で、建物に囲まれる形で設けられた中庭のこと。)に似た、吹き抜けの高い天井を持つ建物だったため、日中はビル最上階の ガラスの天井を通してかなりの光が入り、どの宝石店でも自然光の中で見ることが可能でした。

李さんの話では、ここで宝石店を経営する人々は、元来仕入れも現金取引であり、また購入者が現れるまで商品によっては長く商品を寝かしておくことも必要な為、良い宝石を扱えば扱う程、かなりの金持ちでないと出店出来ないとの説明でした。               宝石店の経営者からすると、貧乏人の客に宝石を分けてあげていると言う、感じかも知れません。                                        宝石店の中には、店の規模も小さく、余り客を歓迎したくないのか、店の照明も控えめで薄暗く、それ程綺麗でない店もありましたが、李さんに言わせるとそこの店のオーナーは、広州でも大金持ちとのこと。                                要するに高価格の商品しか販売しない為、貧乏な仕入人は来て貰わなくても良いという事らしいのです。恐らくそれなりの仕入人だけを相手に、商売しているものと思われます。

李さんが案内してくれた店は、社長と同郷の人が経営する店だったらしく、卸店で付けられた値札からは驚くほど安い値段で、購入する事が出来ました。               ただ私が少し顔見知りになって、一人でこの店に買付に行ったとしても、これ程安く仕入れることは出来ないでしょう。                              店としては、きっと販売する上での客のランク付けが、あると思います。

品物は店を開いている以上、偽物を販売することは無いし、同郷の社長との人間関係もあり、粗悪品を騙して販売することは絶対無いというのが、李さんの話でした。         

要は、品物は確かだから、安心して選んだら良いという事でした。 

当初私は、『1カラットの値段が、ダイヤモンドよりも高価。』と言われる紅いルビ-を購入したかったのですが、残念ながら目的としたルビーはありませんでした。

そこで他店も含め、あちこち見て回るうちに、トルマリンという宝石を購入することに決めました。                                       トルマリン(tourmaline)は、結晶を熱すると電気を帯びるため、日本語では『電気石』と訳されています。元々トルマリンと言う呼び名は、ケイ酸塩鉱物を総括した名称で、成分の違いから、無色、紫色、青色、緑色、黄色、褐色、赤色、ピンク、黒色など多彩な色合いの石が見られます。

産地は、ブラジル、アフリカ各地(モザンビーク、ナイジェリアなど)、スリランカ、アメリカ合衆国などで産出されており、中国は産地ではありません。 

しかしながら原石を輸入し、中国で行っている研磨やデザインを駆使した製品は、日本で販売されている商品と比較すると分って頂けるように、かなり綺麗な仕上がりになっています。(以下は、日本で販売されているものの写真)

→ トルマリンネックレス

日本では、「トルマリンがマイナスイオンを発生し、精神的、肉体的にリラックス、リフレッシュさせる。有害な電磁波を吸い取る。遠赤外線を放出する等」と、科学的には何の根拠もないのに、色々怪しげな売り方や霊感商法の商材としての販売が散見されます。       日本でのこの様な販売方法が、トルマリンそのもののイメージダウンに繋がっているのではないかと思います。           

しかし観光客が求めやすい価格で提供出来ること。非常に綺麗であること。日本では以下の写真の様に、デザインの綺麗な品は入手しにくいことから、この宝石を仕入れることに決めました。

私は、お客の反応確認を目的に、バッグも宝石も、購入先の定価を明示する形で全て写真を撮ってPCに保存しておいたのですが、日本に帰国後この様にブログに書くことも想定していなかったものですから、全て抹消してしまいました。

しょうが無いので、店から貰った小冊子の中から、私が実際に購入したものに近い写真を以下幾つか載せます。                                  ただし以下の掲載した写真は、小冊子の一部写真を再度スマホで撮影したものなので、全体的に薄い霧の様に薄暗い色で覆われ、鮮やかさに欠ける写真しか見て貰えないのが残念です。 また実物はもっと明るく光り輝き、色合いやデザインも、よりシャープな感じの宝石です。

成都の社長の伝手(つて)で、宝石店で非常に安く購入出来たとは言え、中には数千元のものもあり、私が纏まった数の宝石を購入したことから、李さんの手元の資金が底をつき、途中で銀行迄お金を下しに行って貰いました。                         仕入れたトルマリンの宝石は50個前後になりましたが、小さく重さも無いため、全て成都に持ち帰ることにしました。

これで今回の10泊の旅は、終わりました。

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