スリの被害

成都ですりの被害に遭った話をする前に、桂林のバスの話をしたいと思います。

①近郊から桂林の中心部間を主に移動するバス。

②桂林の中心街から遠く離れて行き来するバス。

③桂林の中心街から遠く離れて行き来するマイクロバス。 (沢山の零細企業が運営しており、台数が少ないため1日の便数が限定される。)

①は、バスが運行する市の区間内なら全て1元か2元(冷暖房設備があると倍の料金)で、2階建バスも同様。

但し2階建バスは、2階にいると視野が広がるものの、運転手の運転具合によっては、街路樹の枝が、顏に当たったりガラス窓で折れたりすることも多い。              便数が多く、10分前後の待ちで大抵バスに乗ることが出来る。

②と③は、日本のバスと同様で、区間ごとに料金が異なる。

ワンマンバスで、後ろから乗車し、前方の運転席の横から降りるバスの場合、混んで来て前まで行かないで、運賃を支払わず後ろから降りる人も、時々見かける。

私の会社の運転手の話では、お金を運転手横の箱に入れたか入れないかで、喧嘩となり、運転手が刺された事もあると言う。そういう事件が成都であったからか、運転手もお金を入れない客がいても、見て見ぬふりをするケースもあると言う。

桂林市を離れて、その他の市に行く場合は、市のバスセンターまで行って始発に乗る。(成都も同様。)

成都では、これ以外に車両を幌で2台連結したバスも見かけましたが、これは日本と違い道路幅が大きい為に、十字路での方向転換もスムーズに行えます。

ただ成都の場合、③のマイクロバスは殆ど見かけませんでした。

それでは、成都の交通地図を御覧ください。

これからの説明は、東京の交通地図をイメージしながら比べると分り易いかと思います。

東京の皇居を中心に道路や鉄道が周っているのと同様、成都市も天府広場・四川科学館を中心に、同心円状に道路が整備されており、中心に近い所から外側に向かい一環路、二環路、三環路と巻城高速道路があります。

巻城高速道路の言葉からすると、一環路、二環路、三環路のどの部分までが城内であったか不明ですが、かなりの面積が城の敷地内だった可能性があります。鉄道も三環路に近い位置を通っています。                                                                                                       政府関連の建物は、大半が青羊区内にあり、かつ一環路内にあります。

私が勤め始めた頃、会社は1年程、二環路沿いで杜甫草堂まで徒歩30分ほどの青羊区内にありましたが、その後武侯区西側で三環路の外側に移転しました。最初の地図で示していますが、赤▲の辺りです。

また地下鉄は、南北のオレンジ色線の部分は完成していましたが、薄青色で、北西から南東に走っている線は工事中でした。

地下鉄工事は車での移動途中でよく見かけましたが、日本の地下鉄とは異なり、地上に近い所を掘っていましたので、工事個所に近い所では、長期にわたる交通渋滞も頻発していました。私は職場に近い所に、会社でマンションを手配してくれていたため徒歩で通い、バスも地下鉄も利用することはありませんでした。

また成都の中心街には伊勢丹、イトーヨーカドー(2016年時点で北京3店舗、成都6店舗進出、特に興味がある方は、http://www.itoyokado.co.jp/company/iycsr/pdf/h_01.pdf を御覧ください。                                     私は「成都日本人会」主催の講演会で、店長から同社の中国での苦労話を聴いたことがありました。)に加え、和幸(千葉のとんかつ屋)も進出していましたので、仲間を誘って日本料理を食べに、良く出かけました。

目的地へは会社の車か、タクシーを使っての移動ばかりで、桂林とは異なり、成都では一度もバスに乗ったことはありませんでした。

三環路の内側は、南北に地下鉄があるだけで、電車や鉄道の交通網も未発達な為だと思いますが、会社の仲間は、中心街のことは良く知るものの、自分の住んでいない方角については、殆ど何も知らない状態でした。

もし私が成都の東側や南側や北に行くとすると、考えられる移動方法は、網の目の様に張り巡らされたバス路線を、何回か乗換えて行くしか方法がありません。

成都に移り住み1年近く経った後、成都市の全体像を掴みたいと思い、あちこちのらりくらりと曲がって走って行く市内バスに乗ることにしました。

桂林でも成都でも、スリが多いからバスには乗らないでタクシーに乗る様に、職場の仲間からはよく言われましたが、桂林でスリにあったことが一度も無かったため、私自身油断もあったと思います。

10月の終わり頃だったと思います。ハツキリした目的とする停留所もなく、とにかく市の東側に行って見たいと思い会社近くの停留所から、バスに乗りました。            バスが終点に着いたため終点で乗換え、再度違う路線のバスに乗ることにしました。

バスは、後方からステップを登ると、直ぐ左側に3人程が掛けられる非健常者、妊婦、子供、老人等の為の専用シートがありました。

私は、周りを見回しましたが、2人席の窓側が空いている席は散見されたものの、通路側から窓側へ割って入って座るのが億劫に感じられ、専用シートの一番端の階段寄りの位置に座りました。3人席で座ったのは私だけなので、まだ2人程座ることは出来ました。

私は、窓からぼんやりと外を見ていましたが、そのうちだんだん混み始め、気が付くと私の 正面には、長年の寒風に曝されて肌が土色化しているが艶(つや)を持ち、更に顔全体に皺が沢山出来た年老いた女性が立っていました。

その老女は、左手でバスのステップ階段のポールを握り、右手には、さほど大きくない植物繊維で編んだ手提げバックを持ちながら吊り輪を握っていましたが、バスの揺れと歩調を合わせるのではなく、彼女独自のリズムを作る揺れ方で体全体を私の方へ近づけたり、遠ざけたりしていました。

3人掛の席は、全て埋まっており、私も譲ろうかどうしょうか迷ってました。       停留所を4つか5つ過ぎた頃、席を譲ろうかと思った時、その老女は私の前から離れて別の位置に移りました。

またそれから2つ停留所を過ぎた時、私の隣に座っていた40前後の痩せた女性がバスの前方に進み、運賃箱に料金を入れて降りて行きました。

私はその後幾つか停留所を過ぎ、降りようと前方の運転手の所に行き、お金を料金箱に入れようと財布を出そうとした時に、初めて財布が無いことに気が付きました。         財布は、ブレザーの左の内ポケットに入れていたのですが、内ポケットの下方がちょうど財布と同じ幅で切られていました。

当日、私は偶々(たまたま)4000元(6万円)強の大金を財布に入れていましたが、これを全てスラレました。

私はバスの運転手に、支払うお金が無いことを説明し、直ぐにバスを降りタクシーを拾い職場に戻りました。タクシー代は、職場の仲間に立て替えて貰いました。

多額のお金をスラレたことはショックでしたが、それにも増して、スリの芸術的な仕業には唖然としました。

後々、状況を思い出して見ました。恐らく着ている服からお金を持っている日本人と判断し、私に狙いを定めたのでしょう。

私の左隣に座った痩せた40歳前後の女性は、20~25cm程度の比較的珍しい円筒形のバッグを膝の上に載せ座っていました。(私の右端は、直ぐに階段ステップ)

その女性が、チベット族と思われる老女の体の揺れに私が気を取られている間に、バッグの下から私のブレザーの内側に手を伸ばし、非常に鋭利で小さな刃物で、ブレザーの裏生地を財布幅で切り裂き、抜き取ったものです。

100元札が40数枚入った財布の厚みと重量感があるため、普通であれば、スラレても気が付くはずですが、この時は本当に全く分かりませんでした。

以前桂林と観光地陽朔の間で、集団スリに会った話を日本人の仲間が話して呉れましたが、 私の場合も本当に芸術的とも言って良い程、上手なスリでした。

バカな日本人から、大金を上手くスリ取ったと喜んでいる2人の姿を浮かべると、腹立たしさを禁じ得ませんが・・・・・・・・・。

海外旅行などでスリに遭い無一文になることを想定すると、財布を2つ用意してお金を分け所持しておいた方が、良いのかも知れません。                      また特に男がズボンの左右のポケットに財布を入れる場合、両ポケットにファースナ―を付けていた方が、スラれ難いかも知れません。

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