Bさんの引越

私が桂林に来て最初に知り合った日本人Bさんは、私がリョウさん運転のバイクの後ろに乗っていて、不意に他人のバイクから手で押され大怪我をしたロータリー交差点、この交差点に面し東側にある7~8階建マンションの高層階に住んでいました。              下の写真では、右側にあるマンション群から一つ道路を隔てた別のマンション群で、ロータリー交差点が目の前に見えています。

私が静慮荘を開店後の事件でしたが、お寺の経営者のソウさんとも、契約解除でもめる前に発生した交通事故について書きます。 私はリョウさんが運転するバイクの後ろに乗り、三里店の『ロータリー交差点』に来た時に、事故が発生しました。                                ここは、...

そのマンションは、日本のマンションと比べると、天井も3m近くあり部屋も広く、また各部屋を仕切るコンクリートの壁も厚く、更にどの壁も白く塗装を塗っただけなので、家具が少ないと殺風景な感じは否めません。                           使用するセメントの量からすると、車に例えると、頑丈なスウェーデンのボルボに対して、 薄い鋼鈑の日本の軽自動車と言ったところでしょうか。

彼は1部屋の真ん中に、横1.5m、幅0.6~0.7m、高さ0.8~0.9m程の大きな水槽を置き熱帯魚を飼っていました。                                 2LDKのこのマンションで何年程暮らしているのか聞き忘れましたが、私は半年間で10回前後遊びに行きました。

ある日突然、彼から携帯に電話が入り引越しするので手伝ってくれと言われ、彼のマンションに出向きました。

Bさんは外出し家に戻ったら、全ての部屋が、床から15~20cm程度迄水浸しになっており、水に片足を入れた途端、ビリビリと来て、危うく感電死しそうになつたそうです。     その時、私はその場に立ち会っていませんので、床に溢れた水をどの様に処理したのか分かりません。恐らく、メインのブレーカーを切り、大家を通じて水道業者や電気工事業者を呼び、漏水箇所を特定し、部分修理で対応したのだと思われます。               話では、水槽に水を供給する配管が壊れて、部屋が水浸しになったものではない様でした。

その時Bさんは、次の様な話をして呉れました。                    『中国のマンションは、水回りのトラブルが比較的多いためか、仮にマンションの1軒で水漏れが発生したとしても、決して真下の階のマンション迄水が漏れ出ない様に、新築時の防水工事だけは完ぺきになっている。他はダメだけど、この点だけは感心させられると・・・。』

彼の話では、床が水浸しになったのはこれが2回目だったそうで、流石(さすが)に今回は感電死しそうだったことから、我慢の限度を超えていた様です。               大家に対し、室内の水の配管を全て取り換えることで、漏水の予防徹底を図る様、強く文句を言ったそうです。                                  そうすると大家との間で、お互いが大声を張り上げる言い争いになり、大家からは、    『今すぐに出て行け !!』と言われ、慌てて引越し先を探す羽目になったようでした。

このためBさんは、麻雀屋で仲良くなった日本語が上手なレンさん(40歳代の女性)に連絡を取り、至急別のマンションを見つけて貰いました。                    当時レンさんとBさんとは非常に馬が合うと言うのか、買い物や食事で2人良く中心街へ出かけていましたし、レンさんを始め、レンさんの兄妹とは家族ぐるみの付き合いをしていました。

ある晩、Bさんがレンさんの家族と一緒に夕食を済ませ、レストランを出て近くの公園を散歩していた時、夜空の遠くに無数の光を放つ浮遊物を見つけビックリして『UFOが飛んでいる。』と大声を上げると、レンさんの家族からは、大笑いされたそうです。

時期は中元(旧暦7月15日前後のお盆)の頃で、死者を弔(ともら)う為、川には『河灯(フータン)』を流したり、空には『孔明灯(コンミンタン)』を飛ばすのですが、彼は日本で見た事もない光景を目の当たりにして、UFOと勘違いしたとのことです。

私もレンさんからは、いろんなことで桂林での生活を助けて貰いました。         彼女は、中国人にしては非常に珍しく、子供がそのまま大人になってしまったと言って良い位に、相手を疑う事も無く、純な心を持った女性で、私たちにいろんなことをサポートして呉れても、恩にきせることも、また金銭のお礼も一切求めない女性でした。

元々彼女の性格は、父親譲りであったのかも知れません。                彼女のお父さんは広西省の陸軍のトップにもなった人で、非常に部下思いで、多くの人々からも慕われていた様です。 ただ私が彼女に会った頃は、既に亡くなられていました。

日々の生活が騙し騙される世界の中で、彼女は、他人へ見返りを求めなく、頼まれると進んで人の世話を行う人であったことから、周囲からの信頼も厚く、改めて彼女の人脈はすごいとBさんが言っていました。(特に中国では、学歴より人脈が成功を収める条件となっています。)彼女の父親が残した遺産などから、日々の生活に困らない程度の収入が入っていたことも、金銭に執着しなく伸び伸びとした彼女の性格に大きな影響を与えているのかも知れません。

少し話が逸れてしまいましたが、通常桂林や成都では大家さんの方で備付けとして、エアコン,冷蔵庫,テレビ,ベッド,テーブル,クローク等が置いてあるため、借主は布団や身の周りのもの以外に特に用意すべきものはありません。                        しかしこれが、大家さんと借主との間のトラブル発生の大きな原因になることが多い様です。

私の場合もそうでしたが、テーブルやイスが一部壊れてしまった時や初めから壊れているのに入居後に修理を指摘した時等、どちらが修理費を負担するかで、揉めることが多々あります。

入居時に経年劣化や壊れていた物を敢えて指摘しなかった場合等は、後から賃借人に費用負担を求めるケースが大半であることから、入居時に備付の備品を良くチェックし、不具合があればその場で、修繕を要求することが大事です。

通常マンションを借りる場合、賃借人は日本と同じく敷金を入れますが、大家さんは、賃借人の退去時には敷金を返さないといけないため、いろんなクレームをつけて返金の減額を図ります。それは今借りている賃借人が、床・壁・天井を汚したのではなくとも、また家具等を部分的に壊したり傷つけたりしたものではなくとも、ともかくあらゆる理由をつけて、返還敷金の減額を要求されます。                                そうすると、敷金を上回る金額を支払わなければならない事もあり得る訳です。

ただ私の場合は、桂林でも成都でも、会社契約てあったことから、会社の担当者とオーナーとの交渉で問題解決が図られ、私自身は一切揉め事の当事者とならなく非常に幸運でした。

Bさんの場合、レンさんやレンさんの家族のサポートもあり、直ぐに別のマンションに入居しましたが、敷金の返還については、聞きそびれました。                 Bさんの災難は、悪い大家さんに出会ったが為に発生した問題であり、日本ではまずあり得ない事だと思われます。

(Visited 275 times, 1 visits today)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする