気になった漢字  

中国で生活をしていて気になった、幾つかの漢字について書きたいと思います。

(1) 『正宗』という漢字

桂林に来て良く外食をしましたが、飲食店の看板には、しばしば『正宗』と言う言葉が書かれている事に気がつきました。

非常に大きくて有名なレストランは別として、多くの店の看板には、経営者兼コックさんと思われる人の似顔絵が描いてあり、その近くには『正宗』の言葉が追記されたケースをよく目にしました。                                     似顔絵自体は、一体どの様な宣伝効果が有るのか不明ですが、お客に親しみを持って貰うための手段かも知れません。

さて『正宗』という言葉ですが、日本では、優れた日本刀及び刀工の名や、清酒及び製造メーカを意味しますが、中国では『偽物』ではなく、『本物』であることを強調する言葉として使われています。

言い換えると、世の中に『偽物』が氾濫する中で、私の店の料理は、『正真正銘の○○料理』であるとアピールしている訳です。
最初は、なぜこんなにも『正宗』が多いのか、全く分かりませんでした。

(2) 『中心』という漢字

戦前や戦中においては建物や組織を表す言葉として、『センター』という英語発音をカタカナでそのまま表記することは、敵国言語の使用につき、全く無かったと思われます。
現在日本でよく使われている『センター』という言葉は、昔だったら『会館』と呼んでも良かったものに使われているケースが多い様に思われます。

例えば国際文化会館や国際交流会館と呼んでいたものを、国際文化センターとか国際交流センター等の呼称する事例が、当てはまります。
また企業においても、流通センター, 開発センターや解析センターとか言う様に、会社組織の一部として使われるケースも良く見られます。

中国では、昔からその様な呼び方をしていたのかどうか不明ですが、『中心』という言葉が広く使われています。日本の各地にある国際文化センターは、中国でも各地にある様ですが、『国际文化中心』と書きます。(なお余談ですが、『中心』を『中芯』としなかったのは、『芯』という言葉が硬く不要な物のイメージを想起させるために、敢えて使用しなかったのではないかと思われます。)

私は、日本で生活していてもセンターという言葉には、さほど関心は無かったのですが、中国で『中心』と書かれた建物の入り口の看板をあちこちで見ると、私にもなぜか『中心』という言葉を強く意識させられるのが、不思議でなりませんでした。

『中心』という言葉の意味に、中国人の思いが込められているのではないかと再認識させられたのは、全くの同義語ではありませんが、習近平主席の敬称として必ず『核心』という言葉が使われたからです。

中国共産党において、最高指導者が「核心」と呼ばれたのは、過去には毛沢東、鄧小平、それに江沢民氏の3人だけだそうです。                          2018年10月に開かれた共産党の重要会議のコミュニケに「習近平同志を核心とする党中央」という表現が盛り込まれ、習氏が公式に「核心」と位置づけられたことで、歴代の最高指導部の中で1段抜きん出た存在であることが、明確化されました。

またこのブログの『日本へのお金の持出し(1)の最後の方に、『川』,『河』,『江』の 使い分けについても書いていますので、こちらもご覧頂ければ幸いです。

中国人が選択する言葉に対する拘(こだわ)りは、こんなところにも垣間見られます。

(3)  『艺术』 という漢字

桂林や成都では、しばしば『芝木』(正確には『艺术』と書いてあった様です。)という看板を目にしました。                                                                                                      桂林での少数民族の舞踊、土産品店や成都での川劇等の看板等で目にしました。

一体『芝木』とは何だろうと思い、仲間に聞いたところ、芸術だと言います。看板だったため私が『、』を見落としていたり、或いは『、』を勝手に付け加えたりしていた様です。

『芸』の簡体字は『艺』で、『術』の簡体字は『术』と書くことが分かり、理解することが出来ました。                                     私が単純に看板の字を日本語の『芝』と『木』の漢字に置き換えたため、理解不能に陥ってしまっていました。

それにしても『木』に『、』を加えた『术』が、『術』と同じとは、中々理解しにくいものです。

(4) その他の面白い漢字

中国で面白く興味深い漢字を幾つか見つけてメモしておいたのですが、殆んど忘れてしまいました。中には春夏秋冬の中から、1文字を使った非常に面白い漢字(一例としては、冬をロで囲んだと言う文字で、日本語の地図は、地と書きます。なぜ冬なのか、語源迄は分かりません。)を幾つか 発見したのですが、ここに書けないのが残念です。

今思い出したのが看板に書かれた『鑫』(読み方は、シン)という漢字で、建物名や会社名を表す数文字の中に書き加えられていました。

しかし建物を入ったらすぐに、金(ゴールド)を販売している店という訳ではありません。  日本では、金を3個も組み合わせる1文字の漢字なんて見た事もありません。随分欲張りの漢字に思えます。

『鑫』を自動翻訳機に掛けても、私が納得出来る訳は全く出て来ませんでした。
更に中国人の仲間に聞いても的確な説明をしてくれる人はいませんでした。

ここからは私の想像ですが、お金や財産をたっぷりと持つと言う願いを込めた漢字、即ち願掛けを目的とした漢字で、縁起を担ぐ意味で会社名やビル名に、多用されているのかも知れません。

次に

  

と言う言葉ですが、しばしば銀行カード等で目にしました。               日本語の『上』と『下』の文字で、横『一』を共有した様な文字です。

読み方は、「チャ-」と発音し、挟(はさ)まる、引っかかると言う意味ですが、
また「カ-」と発音し、銀行などが発行するカードの意味もあります。          ただ昔は、カードなど中国には無かったと思われますので、こちらは新しく作った造語と  思われます。

更に

             という言葉も、見つけました。

日本語の『下』と言う字に『 、』を付けた文字です。                 これは「ベン」と読み、本来は焦(あせ)ると言う意味があるそうで、人の名前にも、しばしば出て来ます。

序でながら、バオバオと発音する漢字は「赤ちゃん」を意味します。

気が付く度に面白い文字をちゃんと残して置いたらと、今更ながら残念に思っています。

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