香港への一時出国

桂林に住んでいた当時、良く雑談をしていた日本人のBさんから聞いた話ですが、深圳(シンセン)に住んでいる日本人の中で、一度もビザを取得しないで、長年中国で生活している人がいると聞き驚きました。        旅行者等中国での滞在期間が15日以内であれば、ノービザで滞在可能な為、その人は香港の隣りの深圳に住んでいたと言うメリットもあったのでしょう。

その人は短期滞在のビザなしで入国し、15日毎に、深圳の税関と香港の税関間を行き来して、長年中国に滞在していた様です。このためパスポートは、出国・入国の押印で直ぐに一杯になり、パスポートも紙片の追加で辞書みたいな厚いパスポートになっていたとのことでした。 ただ2019年からか20年からか忘れましたが、外務省は、パスポートの押印欄が一杯になった時は、従来から行って来た紙片を追加する方法を止めると、ネットのニュースで読んだ記憶があります。

私の手許にある10年間使用して来た古いパスポートを見ると、2012年10月に一度香港へ出国した記録が残っています。当時は、尖閣列島問題、日系企業の排斥運動等で緊張状態が続き、中国政府の発行するビザも取得し難く、またその有効期間内に一度出国する必要に迫られた為、取り敢えず一番近い香港へ出国することにしました。

一番最初に、成都から直接香港へ飛行機で飛んで出国する方法を考えたのですが、なぜか国際線の往復の飛行機代が余りに高いため、取敢えず広州迄飛行機で行き、そこからタクシーやバスを使って陸路で香港へ入ることにしました。(役人と全ての航空会社がタッグを組んで、一時出国の外国人から多額の航空運賃をふんだくろうと、画策した結果としか思えません。   仲間の日本人も、多くがバス、鉄道、国内線航空機を利用し、深圳経由で香港に入っていました。)

しかし私自身、中国から香港に入る場合の交通経路等全く分からない為、桂林から成都の私の職場に呼び一緒に働いているリョウさんに相談したところ、リョウさんの彼女の友人Mさんが、案内してくれることとなりました。

広州の空港に着いたらMさんが迎えに来て呉れていたためホッとしました。        夕食を一緒にした後で、ホテル迄案内して呉れました。翌日は、彼女が朝早くホテルに迎えに来てくれ、ホテルからタクシーで、長距離バスのバスセンター迄行きました。

タクシーを降りる時、タクシー会社間の縄張りがあるのか、警察の指導があり見つかったら罰金を払わないといけないのかその理由は不明ですが、そのタクシー運転手は、私達を降ろすと『ここでは次のお客を拾えない。』と、足早に去って行きました。

どれ位の時間バスに乗ったのか今では良く覚えていませんが、バスの終点で下りると直ぐにビルの中に入った後、そこからまた別のビルにわたり、2階か3階程度のフロアーから出国の手続後、窓の無い回廊を渡り香港側の税関で入国手続きを行い、香港に入りました。(回廊の真下は川の様ですが、窓が無いため良くは分かりません。)Mさんとは、彼女がパスポートを所持していなかった為香港に入れなく、出国のゲート付近で一時的に別れました。

香港に入ると一応中国を出国したことになるため、後は気軽な気持ちで税関を通った多くの人の流れに乗って、そのまま電車に乗り込みました。

電車に乗って直ぐに気が付いたのは、周りの人々は英語しか話していなく、中国語を話す人が全くいなかったことです。香港というと、私の頭に直ぐに浮かんできたのは、映画『慕情』の舞台となった『ビクトリア・ピーク』(地図では、赤い吹流しの箇所)に登ることでした。そこで何人かの香港人に降りる駅や道を尋ねながら、ピークトラムの始発駅迄たどり着きました。

香港を代表する景色といえばザ・ピーク(ビクトリア・ピーク)からの眺めですが、そこへ向かう途中の景色もまた壮観です。ピークトラムは、英国総督とピークの居住者の専用交通手段として1888年に開通しましたが、現在では、だれでも利用できる世界最速のケーブル式鉄道として人気を集めています。ピークトラムの走行時間はわずか7分です。

トラムが山の勾配を駆け上がると、驚くような角度に摩天楼を眺めることができ、記憶に残るほどの景色を味わえます。海抜373mの小高い展望台から眺める、中環の摩天楼と九龍の大パノラマは、香港を訪れるなら必ず肉眼で押さえておきたいところ。ツアーの観光に必ず組み込まれている観光スポットではありますが、個人旅行でも絶対行きたいですよね~交通手段としては、直通のバスやタクシーで行く方法もあるのですが、何といっても最もポピュラーな交通手段が、山の麓からピークを目指して、全長1.4kmの急勾配を駆け上がる『ピークトラム(山頂欖車』なのです。最大勾配23度!乗る時からすでに斜めになっています。(写真も文章も香港旅行ガイド 「香港ナビ」より転載)

Uチューブに映画の『慕情』の場面をコンパクトに纏めたものを見つけましたので、ご覧ください。

私自身この映画を映画館で見たのは何歳の時かはっきりは覚えていませんが、多分20代だと思います。最後のビクトリア・ピークは、既に死んでしまった恋人の新聞記者との懐かしい思い出の場所で、ひょっとすると彼が生きていて待ってくれているのではないかと、一人探し彷徨(さまよ)う姿で終るのが非常に印象的でした。(ヘリコプターからの撮影と思いますが、ヘリコプターが上昇に伴い、最後は彼女がピークで彷徨(さまよ)う姿が次第に小さくなって行く状況で終ったと記憶しています。)

1955年公開映画「慕情」(原題Love Is a Many-Splendored Thing)のテーマ曲。        内容は第二次世界大戦終了直後の物語。香港で勤務医をしていたハン(ジェニファー・ジョーンズ)はアメリカ人の新聞特派員マーク(ウリアム・ホールディン)と出逢い恋に落ちます。

しかしマークには別居している妻がいて離婚を迫りますが上手くいきません。やがて朝鮮戦争へと徴兵されたマークは戦死。ハンは二人で過ごした丘を訪れ、いつまでも想い出に浸るという設定です。映画の内容より28回アカデミー賞歌唱賞を受賞したサミー・フェイスンの曲の方が有名になりました。(以上の説明は、Uチューブより転載)

私自身、映画の場面を浮かべながらピクトラムで終点につきましたが、着いたところはビルの中で、展望台もそのビルの屋上にありました。展望台からの夜景は特に綺麗な様ですが、昼間の景色はトラムの写真に似て、細長いビルが林立しているだけで高揚した気持ちはありませんでした。

ピークではコンクリの建物の中を移動するだけで、全く土を踏むと言う事が無く、非常にがっかりしました。特に若い人々には、『慕情』という映画を観た事も無い人ばかりだと思われますので、高層ビルが林立する景色を見て感動し、ビルの中で売られている土産物を買えば、それだけで十分に満足出来るのかも知れません。

私は、そのままトラムで帰るのもつまらない感じがして、敢えて歩いて下りることにしました。途中小雨が降り始めどうなる事かと心配しましたが、直ぐに天気が回復し事なきを得ました。

下りる途中では、何人ものヨーロッパ系と思われる白人(香港は元来イギリス領だったため、 イギリス人が多いのかも知れません。)が、ランニングウェアーで走っている場面に出会いました。 その日が香港の祝日だったのかどうか分かりませんが、健康維持のために習慣にしている様に思えました。

私がトラムで登った時は、7分ではなく10分以上は要したと思いますが、歩いて下るのには、無舗装の道が山を巻くように出来ている為、結構時間を要しました。           下山で近道をしようと思えば、雨水が作った急な山道を降りることも出来そうでした。

だいぶ下の方へ降りて来た時、道の選択に迷い、先を歩いていた中年の夫婦連れに、私が電車に乗る為に選択すべき道を教えて欲しいと下手な英語で聞きました。先方も英語で教えて呉れましたが、どうも日本人の様な感じがしたので、日本人かどうか英語で聞いたところ、先方も日本人だと言うことが分かりました。その人は香港大学で経済学を教えているとのことで、 初対面とは言え日本人同士が英語を使ったことで、お互い苦笑しました。

その日の午後、香港から再度深圳に入りましたが、Mさんが約束の時間どおりに、税関の出口で待っていて呉れたため、逆のコースをたどり、無事成都までたどり着くことが出来ました。私の為に2日間もつぶして呉れた彼女には、お礼として幾分かの金銭を渡したかったのですが、中国人には珍しく一銭のお金も受け取らなかったため、非常に申し訳ないと言う気持ちを抱きつつ、別れました。

注)香港は、東京23区の約1.8倍の面積で、その人口は730万人で東京23区の約80%に留まっている。ただ、香港の陸地面積の75%が山間部や自然保護地域になっていることから、残りの25%の土地に人口が密集しているため、世界でも人口密度が高い都市になっている。   2015年の統計では、一人当たりの実質GDPは、日本の1.5倍となっている。

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