峨眉山の思い出  (3)

私達は、入山料、お寺の拝観料、宿坊の費用等を全く負担していないため、一体峨眉山の登山と下山で幾ら費用がかかるのか全く分かりませんでした。

他の旅行者のブログを幾つか見ていると、登山者の年齢にも因るかも知れませんが、登山のバス代、2 ケ所のロープウェイ費用(各往復120元と110元)、お寺の拝観料(1ヶ所10~20元)、ロープゥイ乗り場までの籠屋費用(疲れた場合や幼児用)などを考えると登りだけで最低0.8万円/人くらい見る必要がありそうです。                      ですから、少し余裕を見て登り下りで2万円程用意が必要な様です。これに宿泊料を1日分か2日分加算する必要があります。

2018年現在、日本のディズニーランドやディズニーシーをどちらか見る為の入場料は、7400円です。2ヵ所とも見ると倍の料金が発生します。                       更にここで食事したりグッズ等買ったりして、遊ぶことを考えるとホテル代は別にしても、1.5~2万円/人程持参した方が無難かも知れません。                                                日本での娯楽施設利用を考えると、諸々発生する峨眉山の登山費用は、そんなに高くないと考える人も多いのではないかと思います。

しかし短い期間とは言え中国で生活していると、(物により大分違って来ますが)中国の物価は日本の1/3~1/5なので、日本の娯楽施設と遜色ないと考えられる料金設定自体が、(ただ単に外国人だけをターゲットにして稼いでいるのか、国内観光客も含めて稼いでいるのか、峨眉山のケースは良く分かりませんが)、既に非常に高いのです。                                             具体的に言うと、日本でデズニーランドの入場料を1人3万円、4人家族だと12万円程度にする様なものです。ブログでは、ボッタクリと書いた人もいました。

細かくなりますが、入山料だけでも150元(2500円/人前後)も観光客から取っていますが、日本であれば、山寺の入山料を払う所なんて、余り聞いたことがありません。       私には、峨眉山の各寺の拝観料だけで十分な気がします。

入山料は、麓のバスセンターでバス代と一緒に払うケースもあるでしょうし、歩いて登る人や車で登る人々には、何処か麓に近い所に関所が設られ、そこで徴収されるているのかも知れません。案内などの看板に掲げられているものは定価として、国内観光客や地元の人々対しては、見えにくい所で安価な入山チケットを販売する二重価格も考えられます。

私が以前、植木のレンタルを行っていた黄さんと一緒に、桂林と漓江下りの終点である陽朔の中間程にある『桃源郷』(本ブログの「写真一覧」のタグで『世外桃源』をクリックすると写真が見れます。)に行った時は、外国人観光客用のチケット売り場と国内観光客用のチケット売り場を別々に設けて、特に外国人観光客には入場料金に格差を設けていることが分らない様、少し離れた位置にありました。

私たち2人は国内観光客用のチケット売り場付近で待ち、国内観光客が誰もいなくなった時点で、黄さんが同じ国内観光用チケット売り場で交渉し、地元民に限定して定められた更に安価な入場料を払って入りましたので、実際は三重価格を採っていたことになります。

自分達でスケジュールを組んだ昨日と違い、もうこちらは全て三人にお任せの気持ちであったことから、今は万年寺の駐車場を何時に出発したのかすら覚えていません。                       登山用の車道は、完全に舗装されており、大型の観光バス、マイクロバス、乗用車などが山頂方向へ向かい沢山の車が登って行きます。

しかし登り始めてさほど時間も経っていないのに、渋滞となりました。          10分程待っていても、全く先へ進みません。中国は日本と反対で、進行方向に対して右側通行ですが、2車線の下りの左側からも車が1台も下りて来ません。

私は霧が発生していたため交通事故でも起こったのかなと思いましたが、待っても一向に車が流れないため、M社長の弟さんが車を左側の車線に入れてドンドン登って行きました。

渋滞の最先端には交通警察のパトカーが、2車線の車道を塞ぐように停まっていました。M社長の弟さんは、警察官と2,3言葉を交わすと、1台の警察のパトカーが塞いでた道を開けてくれ、私たちの車だけ通して呉れました。

パトカーの警察官は、別れ際に何か親しそうに弟さんへ話しかけたのが、非常に印象に残っています。弟さんの話では、濃霧が発生し危険な為、濃霧が消えるまで警察官がストップさせていると言うことでした。

濃霧の中でも運転できる彼の技量を警察官が認めているという事もあるのでしょうが、警察官の対応の丁寧さからして、きっとこれはM社長の力にも因るものだと思いました。

通常であれば、車道を逆走して上がって来るだけでも、警察から高額な罰金を科せられても仕方がありません。                                  多くの車の運転手が交通警察官にストップされるせられイライラしていると思われる中、他の車は1台も通さなく、私たちの車だけが登って行くその有様は、私は何か特別待遇を受けていると言う実感がありました。                             恥ずかしい話ですがその時は、多くの人が車から出て待機しており、人々からの羨望の眼差しを受けていたため、今までに一度も経験したことが無い様な、ステータスを感じる妙な興奮を覚えました。

こうして峨眉山を車で上る途中、昔同じく峨眉山に登ったと言うKさんの話を思い出しました。Kさんは桂林のマンションを処分し、私のブログの『日本へのお金の持出し(1)』に登場した人です。

彼は数名の桂林の仲間と一緒に、峨眉山山頂の改修工事期間中(2003年~2006年)に歩いて登った様です。登山途中で疲れたため、仲間と一緒に写真の様な籠屋を使い登った様ですが、彼は中国語が上手であったため、籠に乗りつつ担ぎ手と雑談した話を私に教えて呉れました。

今から15年程前に、現在ある2ヶ所のロープーウェィが完成していたかどうか分かりませんが、『峨眉山の思い出(1)』の地図を見て頂くとお分かりの様に、今もロープーウェィだけで山頂へ直接楽に登りきると言う状況にありません。                  麓から延びた車道もかなりの長さですが、当時車道も現在の様に既に全て完成していなかった様です。

しかしいずれにしても、登山途中に急坂や800段近い階段もあり、登山に疲れた人、体力の無い人々、子供連れ等今も昔も相変わらず籠屋を利用しているようです。         ただ車道も整備され、2ヶ所のロープーウェィも動く様になった現在、昔に比べると籠屋の数もだいぶ減っているものと思われます。

Kさんの話によると、長年にわたり籠屋の担ぎ手が顧客に運賃を提示し、直接顧客から担ぎ手が現金を受領していた様です。しかしKさんが登った当時は、既にロープーウェィ用の切符を買うのと同じく、国が管理する定められた切符の発売所でしか、籠に乗る為の切符を買えない形になっていたそうです。

この為籠屋の担ぎ手は、お客の希望する目的地に到着後、顧客から毎回切符の半券を受取り、この半券を集めて切符の発売所に持ち込むことで、国がピンハネした後の残額を報酬として受取っていたそうです。

各寺院も含め峨眉山の全てが国の施設なので、ヤクザの縄張りの脅し文句に似て、『国のやり方が気に入らないなら、この地で籠屋の商売はするな!』と言うのが、国側の言い分だったそうです。

私は、Kさんから当時の籠屋の運賃や国のピンハネ額を聞きましたが、全て忘れてしまいました。 そこで他の7年程前に書かれたブログにはなりますが、探し出した結果、運賃1回分が上がりも下りも、平常時100元、繁忙時120元と書かれていました。

私が山頂(金頂)に上がった時、既に改修工事後だいぶ時間を経ているにも関わらず、ピカピカに輝いている小豆(あずき)色の赤御影石が、1mmの隙間も無いほどぎっしりと見える限りの山頂を覆っていたのには、ビックリしてしまいました。

ただあいにく霧がかかっていた為,どれ程の広さを赤御影石で敷き詰められていたのかは分かりませんでした。1枚の石の大きさは、定かではありませんが、120cm×50cm位かなと思います。赤御影石は表面から厚みを調べることは出来ませんが、厚さは15cm以上はあったのではないかと思われます。 似た様な石材をネットで探した結果は、次の通りです。

Kさんの話に戻りますが、また車道も十分整備されていなかったからだと思いますが、たまたま頂上に置く敷石を、人手のみで山頂に向かい、運んでいる場面にも出くわしたそうです。 1枚の敷石を運んでいたのが1人なのか2人なのか、或いは3人なのか、またどの様な道具を使って運んでいたのか、Kさんから詳しく聞きませんでしたので詳細は不明です。

しかし彼の話だと、(同じ人数で)仲間と一緒に敷石を持ち上げようとしても、全く歯が立たなかったとの事です。彼だって、ゴルフを欠かさずやっていましたし、見た目の身体もしっかりしていたのですが・・・・・。

敷石を山頂まで一体全体どれ程の枚数の赤御影石を運んだのか分かりませんが、中国人の人海戦術には、只ただ驚くばかりです。(2つのロープゥェーが何時開通したのか不明でしたが、偶々他のブログに山頂に近いロープゥェーは2007年に開通と書いてあったので、これが正しいとすると、峨眉山山頂の改修工事には間に合わなく、大半が人手だけに頼っていたものと思われます。)

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