桂林で見聞した交通事情

私が桂林にいた2009年~2011年の頃の話なので、既に時間も経ち、現在の状況とは異なっているかも知れませんが、幾つかの項目に分けて、書きたいと思います。

(1)道路事情

桂林も成都も大半の道路がアスファルトではなく、コンクリートを流し込んだ道路となっており、その分硬い道路との摩擦で、タイヤが傷みやすいと思われます。           また私が友人の車に乗せて貰い大きな幹線道路を走っていた時、道路の中央では無くどちらかというと歩道に近く、また信号がある十字路に近い個所ではあったのですが、直径1mに近いマンホールの蓋が無く、そこに前輪の片方がマンホールに落ち込んでいる1台の乗用車に出遭いました。                                     マンホールの蓋が無いにもかかわらず、役所の道路管理者の方で、『マンホールに落ちない様に注意 ! 』とか『 進入禁止を表示する赤いコーンや黒・黄のトラテープの様なもので注意を促す』様な表示を行った形跡は、全くありませんでした。

信号がある十字路に近いという事で、車がスピードを挙げなかった為、車が横転や引っ繰り返る等の人身事故に繋がらなかったと思われます。                    しかし周りの人全てが無関心を装い、マンホールから前輪を抜け出させる手助けをする人は、誰もいませんでした。                                ですから車の運転をしていた人は、携帯を耳に当てていたため、携帯で仲間の手助けを求めていた様です。

数時間後、帰り道で同じところを通りましたが、落ち込んだ車は無かったものの、マンホールは依然として穴が開いた状態で、何も危険を示す表示もないことから、また誰かの車が落ち込むことになるのだと思われます。

なぜマンホールの蓋が付近に落ちていないのか、マンホールの蓋はどこに行ったのか?    北京オリンピックの建設工事のための建設資材に利用されるのか、日本でも似た様な事件が時々発生していますが、恐らく車道の車が途絶える深夜、複数の人間が屑鉄としてマンホールの蓋を売却する為に、トラックに載せて持ち去ったものと推測します。

道路の管理者もこの様なことをあちこちで経験しているのでしょう。           急ぎ対応してもイタチごっこで、無駄と判断しているのかも知れません。         (定期点検の頻度は分かりませんが)、恐らく道路の管理者が定期点検をする時に、蓋をするぐらいのスローペースで対応するのだと思われます。                   という事はこのマンホールの穴が原因で、車を壊すのも大けがをするのも、全て自己責任で、道路管理者たる役所や組織が責任を負うことは無いものと思われます。

また私の職場やマンションがあった五里店(場所の名前)から歩くと40~50分のところに、瓦窑(ワヨウ)という所があります。ここには無数の店が軒を構えており、国内及び海外観光客相手の土産物店の多くが、商品の仕入で買い付けに来ています。             歩いていく途中には、川底からまっすぐ上に突き出た橋脚の橋がありました。

今、手許にその橋の写真が無いため、雰囲気が似た橋の写真を2つ載せます。       車道と歩道は明確に区分されており、左右の歩道は10cmほど、車道より高くなっています。また橋の両側には脇腹程度の高さの欄干(墜落防止用につけられた手すり)があり、街灯は、左の写真程立派で数多くはありませんでしたが、暗くなっても一応道路が照らし出される程度の街灯がありました。                                 左の写真の様に川底から伸ばした高い橋脚で橋を支えていて、右の写真の様に真直ぐで橋の長さは500~600mはあったと思います。                        川の水面から橋までの高さが余りに高い為、通常だったら鋼鉄のロープを張るアーチ型の橋にしても良い程です。

私が歩いた歩道には、橋を渡りきる迄のあちこちに、最大で直径30cm大の穴が開いており、その時は緊張して渡ったものの、夜はとても怖くて渡れない状況でした。         ただ大きな道路であったのも関わらず、市の中心街から外れていたこともあった為だと思われますが、車が多い割に歩道を歩ている人は少なく、日中のその時、歩いていたのは私だけでした。私自身十分に関心を持ってチェックした訳ではありませんが、車道部分には穴が開いていなかった様です。                                  以前三里店での交通事故で私が足の膝を怪我をした話を書きましたが、治療で瓦窑(ワヨウ)近くの中医に通っていた当時も、タクシーでこの橋を毎回か通りましたが、車道の部分は特に問題もなく、通り過ぎました。

橋がいつ竣工したのか分かりませんが、ある程度年数は経っていたと思われます。     それにしても橋の歩道部分に穴が開き、下の川の水面が見えるなんて、鉄筋の数を減らす等の手抜き工事の結果かも知れません。

上海や北京では信号機が多く設置されているのかも知れませんが、桂林では信号機が設置されている箇所が少なく、また横断歩道と次の横断歩道迄の間隔が長すぎる為、歩いている人は結構、横断歩道がない個所を横断しています。                      感覚的な判断のため、数値の正確さは求むるべくもありませんが、こちらの平均的な道路幅は、少なくとも大きな日本の車道の幅の、1.5~2倍ほどはありそうです。       また戦時には戦闘機の滑走路としても使える様にしていると聞いていますので、場所によつては日本の3倍以上の道幅を確保している道路もあるものと思われます。                            (余談ですが、将来起り得る戦争を想定し道路が、戦闘機の滑走路として使う目的も兼ねている事を考えると、道路に爆弾を投下され高温になるとぬかるむアスファルトより、コンクリートで固めた道路の方が、遥かに滑走路としての利用価値があると思われます。)

また本来であれば横断歩道として当然白いマーカーで表示すべき箇所も、実際には表示がされていない個所も、沢山あります。                           私自身、当初桂林で多くの車が行き来している中、横断歩道でない所で車道を横切る場合、左右の車の状況を確認しつつ、走ったり立ち止まったりして交通事故に遭わないよう、幅が広い車道を非常な緊張感を持って渡りました。

しかし時間が経ち、桂林の人々の横断の仕方が分って来ましたので、私も車にはねられない様に、決して一人で渡らないで、(沢山の車がスピードを上げ往来している中)車道を横断しょうとしている人達の塊に入り、ゆっくりとゆっくりと歩きます。              これを運転手から見たら、人々の小さな塊が止まったままに見える程の、本当にゆっくりとしたスピードで歩く訳です。この歩き方だったら、歩行者自身が車と車の車間距離を把握し、一目散に走って横断する方法に比べると、運転手から見ても、歩行者が急に飛び出して来る訳ではないため、遥かに認識し易い様で、急ブレーキを掛ける度合いも減ります。       横断する為の時間は余分にかかりますが、運転手にとっても、安心感を生むようです。

(2)運転免許

日本人のSさんとTさんは、桂林で車を所有し、自分で運転していました。         二人とも日本で運転免許を取得していたものの、中国では中国の運転免許を取得する必要があり、改めて実技と筆記の試験を受けたそうです。2人からは、実技の試験方法については特に話してはくれませんでしたが、非常に記憶に残っていたのでしょう、筆記試験については話して呉れました。

まず筆記試験は、所定の会場で多くの中国人受験者と共に、受けたそうです。       二人とも日常会話は出来るものの、中国語で書かれた試験内容を理解出来ないため、試験の回答が出来る中国人を数百元で雇い、試験当日は自席の横や前後に来て貰い、その人に答案用紙をすり替えて回答して貰ったそうです。                        恐らく立ち会った試験官も、時には自分自身も同様の事をアルバイトとしてやっていたのでしょう。見て、見ぬふりをしていたのだと思います。                   日本人の受験者の場合、既に日本で免許証を取得済みの人ばかりで、事故を起こさないと判断され、この様なことが見過ごされた可能性が大きいと思われます。

ただ日本と異なり中国は左ハンドルなので、免許取得済みであっても、運転に慣れるまでには少し時間がかかると思われます。

(3)営業免許

流石(さすが)に桂林市で一番の繁華街である中心街ではほとんど見かけませんが、ワンランク下の繁華街となっている所のバス停、北方向の出入口なら、例えば三里店のロータリー交差点付近のバス停には、(地方)政府の認可を得た通常の市内バスに交じり、車両の先頭の頭に行先を表示したマイクロバスを沢山見かけます。                      バスの車掌は女性が目立ちますが、バス停で待っている人々に対して、行先を大声で叫び、客が乗車したら直ぐに発車します。(独自の路線を設定している様です。)

これらのマイクロバスは、結構政府の認可を取らずにヤミで商売しているものも多く、更に マイクロバスの所有者と実際の運営者が異なるケースも多く、料金も様々です。      こんなことは日本ではあり得ない事ですが、市の面積も広く、また大きなバス会社とは言え、限られた数でのバスの運行ですから、認可したバス会社だけに頼ると発車時間の間隔が長くなります。                                      これでは、多くの一般市民が日常の交通機関として簡便に利用すると言うニーズにも、応えられません。この様な状況から、マイクロバスのヤミでのビジネスを、政府が敢えて見逃しているのではないかと思われます。

バスと同様に、タクシーも政府の認可を必要とする様ですが、このタクシーの営業免許を得る為の費用が政府の収入にもなることから、本当に高い様で、営業免許取得の費用は元(もと)を取るのに4~5年必要だと聞きました。                                                                         ただ中国の事なので、運転手間での営業免許の売り買いもあるものと、思われます。    何れにしても日本と違い、タクシー運転手になるには、お金がかなり必要な様です。

またタクシーも、上海などでは大きな会社が沢山の車を揃えて運営しているかも知れませんが、桂林ではほとんどが個人タクシーです。                      タクシーの表示も車の屋根上にランプを付けたり、前ドアの両側に会社名を明示する等、日本のタクシーと殆ど変わりませんが、乗客に後ろから襲われない様に、運転手の前座席と後部座席の間に鉄格子が入っている車にも、良く乗車しました。                ただし最近は、桂林も経済的に豊かになり、強盗も少なくなっているのか、鉄格子が入らなく日本と同じ様な車が増えてきています。

それと私が乗ったタクシーの殆どが、桂林も成都もフォルクスワーゲンでした。      これは、フォルクスワーゲン社が他の外国自動車メーカーと比べ、早い時期に中国国内に合弁工場を作り営業活動を行ったことで、一早く大きなシェアーを確保した結果だと思われます。

(3) 運転のマナーやトラブル等

タクシーの場合は、やはり乗客を乗せていることを意識している為か、7~8割は安全運転を心がけていた様に思います。                             ただ中にはひどい運転手がいて、頻繁に追い越しを掛けて、前を行く車にぶつかるのではないかと、肝を潰すような目にも遭いました。

他に思い出すこととしては、十字路でタクシーに乗車して直ぐに右へ曲がる様に言ったにも関わらず、料金を稼ぐため私の指示を無視し、わざと真直ぐに行った後で、遠回りして幹道に戻る等のドライバーもいました。                            上海のプートン空港に入っているタクシーは、過去いろいろ問題が多かったのですが、国の威信もかかっており、既に質が悪いタクシーは、空港から締め出されたと聞いています。   しかし空港周辺、リニアモーター乗降口付近等では相変わらず、外国人相手に結構悪質なドライバーがいる様です。

これは知人から聞いた話ですが、ある日本のビジネスマンがプートン空港について直ぐにタクシーに乗った後、上海市の中心街で下り、そこで食事をしたそうです。          食事後、再度別のタクシーに乗ろうとして、大きなトランクを車の後部ハッチを開けて入れ終わり後部座席に乗ろうとした瞬間、乗客を乗せずに突然猛スピードで逃げ去った、タクシードライバーの話も聞きました。                             その人はトランクにパスポートを入れていたため、日本政府の領事館にパスポートの再交付を申し出るなど、その後の処理も大変だったようです。                  特に外国でパスポートを無くすことは、出入国やホテルでの宿泊、金銭の両替等で困ることとなる為、急ぎ領事館で再交付をして貰う必要があります。                しかし領事館でも、改めて本人確認の書類提出を求められるものですから、日本から運転免許証や戸籍謄本等の本人であることを証明できる書類を持参していない場合、大変手間取ることが予想されます。何れにしても時間のロスと心的疲労は、大きなものになります。

車が車道に溢れて多すぎると言う現実がある為だとおもいますが、一般的に中国人の車の運転は、交通ルールの無視も甚だしく、ウィンカー無しの車線変更は当たり前だし、ちょっとでも前の車との間に隙間が出来たら、我先にと割り込んでくるためヒヤヒヤさせられます。   それに日本では余りクラクションを鳴らすことはありませんが、中国では車が渋滞してイライラしたり、自分が気に入らない運転をした車に対しては、遠慮なくクラクションを鳴らすため、度々非常にうるさい状態に出くわします。

それに中国石油を始めガソリンスタンドで売っているガソリンは、日本より大分安い様ですが、その分ガソリンの精製の度合いも低く、黒い排気ガスをマフラーから出している車も良く見かけました。特に大型バスからの排気ガスは、ひどいものです。            喘息や干した洗濯物の汚れ等の大気汚染が問題となっていた、ひと頃の東京や大阪などの日本の大都市と全く同じ状況です。

ガソリンを購入できる国民の所得の程度、零細業者も多く国内百社を超える車の製造メーカーの技術レベル、製造コストの大幅アップ等を勘案すると、中国政府としても排気ガス規制を厳しくすることが出来ないのかも知れません。

桂林でも成都でも、車に乗って行って帰って来る間に、ほぼ毎日事故現場を見ましたので、 実際の交通事故の発生件数は凄いものだと想像します。                 事故が多すぎる現状、交通警察官の我関せずの現状、これらからして自動車保険の制度が本当に十分に機能しているのか、甚だ疑問に感じます。

何れにしても日本人は、中国で運転免許を取り運転することは、止めた方が良いと思います。

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