技術流出 (4)

私は成都にいる頃、夜は頻繁に桂林の日本人仲間や日本にいる知人と、通話料が無料で使い勝手が良かったスカイプで長話をしていました。私は日本の新聞を入手出来ないこともあり、 ネットでヤフージャパンのニュースを良く見ていました。桂林の仲間も同様でした。

【 余談ですが、中国のテレビニュースにはひどいものも多く、日本のテレビニュースをコピーし、そのまま画面の下に中国語のテロップを入れたケースも、しばしば見かけました。この方法では、日本に特派員も駐在員も置かないので費用の出費が無いばかりか、都合よく日本関連のニュースを編集し直して放映している訳です。ただビデオのコピーの為か、画像そのものは鮮明さに欠けていました。】

ですからお互い、共通の話題で話が盛り上がることが多かったのですが、別に中国共産党がどうだとか習近平がどうだとか言う様な政治的な話を中心に据えたことは、殆んどありませんでした。しかし、中国の現状や片方が知り得た話題の提供をしていく内に、中国の悪口を言っているとネットを監視している中国人が感じるためなのか、途中で雑音を大きくしてお互いの会話の邪魔をしたり、お互いの声を聞きづらい様意識的に小さくしたり、頻繁にスカイプの通信を切ってしまう様なことを繰り返していました。                    私達も、この様な妨害が入れば、今日はこれで終りにしようとすることも多かったのです。 要は絶えず監視され、会話の内容が筒抜けでした。

この様なことは、中国政府が資金を投入し組織的にやっているものと思われますが、監視対象が中国にいる外国人や、独立運動を摸索する少数民族、民主主義を標榜する人々に限定されるのか、一般の中国人も全て対象としているのかは、分かりません。

上海でセキュリティ関連のビジネスもしていた日本人の私の知人に話を聞きましたので、以下要点を書きます。

例えば、成都と筑波との間のネット通信だと、間に10個程のサーバーを経由するらしく、途中の何処かのサーバーで、情報の窃盗が為されているとのことです。            中には組織的に窃盗をしている政府の機関もあるでしょうし、実質的に軍の管理下にある通信会社の一部門が担当している可能性も否定できません。

また中国への進出企業の出先である工場や支店や支社等と日本の本社間は、通信量が多すぎ通信料の負担が大きいことから、専用線を借りて通信することが普通になっています。    本来であれば、独占的に使用できる専用線なので、通信上の秘密は保たれるはずなのですが、現実は非常に危ない状況にあるとのことです。

何もセキュリティ対策を施さず、ただ単に中国の通信会社の専用線を借りて使用していると、中国政府に関連する組織の監視の中、話を盗聴されたリ、情報を盗まれたリすることから、 機密保持を考える企業は、今までは『VPN』と言う方法を使い暗号化しデーターで送ることで、情報漏えいを防いで来たそうです。

しかしこの方法も中国政府の方針として、来年2018年2月VPNを使用することを法律で禁止することになったそうです。これに対応するため、セキュリティビジネスを行っている会社は、『オープンコネクト』と言う方法での販売に力を入れているそうですが、門外漢の私には、理解できそうにありません。

いずれにしても、日々発生している尖閣列島の領土争いに似て、通信という私たちの知らない世界でも、毎日毎秒、国と国を跨(また)ぐ形で情報の窃盗と対策が凌ぎを削っていると、言っても良いでしょう。

それから繰り返しにはなりますが、『体制維持の為の諸システム』の中の(マルウェアの装着)に書いた様に、スマホやPCは中国製を避け、出来る限り国産品を使用し、ハッキングやサイバー攻撃の踏台にされない様にすべきと考えます。この様な私たちに出来ることをすることが、これからの日本の安全保障とって必要だと言う事を、是非認識して頂きたいと考えます。

私が聞いたり、体験したり、ネットを通じて知った事実を、以下の7つの項目に分け書きたいと思います。 (ネット上の情報コントロール) 市政府や省政府は、表向きは“一般人”だが、党や政府の意向に沿ってネット上にコメントを書き込む役割を担(にな)う「網評員」を組織化・養成している。またネットへの...

最新のニュースとして、中国製の無名のスマホにマルウェアがセットされていた記事がありますが、ここに書かれている無名企業に限らず、有名企業も危ないのです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180308-00020061-forbes-sci

なぜなら、中国のスマホメーカーもPCメーカーも、会社が大きくなる過程で、軍からの天下りを受け入れざるを得ないため、軍への協力命令は避けられないし、仮に拒否したら会社そのものの存続が危ないのです。                              また中国は、日本の戦前・戦中と全く同じで、学校教育も小学校から大学卒業迄、『お国のため、中国共産党の為。』という教育を叩き込まれるため、自主的に中国政府にスパイ協力を申し出る経営者もいるのです。                             更にアメリカ留学生の殆どは、隙あらば、最新技術や軍事機密を盗もうと思っている人達で、アメリカは多くのスパイ予備軍を教育・指導している訳です。

以下、今年中国で公布された法律についての記事をコピーしましたので、最後に私の考えを書き『技術流出の話』を終わりとします。

2017.6.01中国で施行されたサイバーセキュリティ法について

英フィナンシャル・タイムズ紙が、6月2日付け社説で、中国のサイバーセキュリティ法は、個人の言論と思想を統制し、外国企業にとっての非関税障壁となるばかりでなく、中国企業の競争力を阻害し中国の経済的利益にも反する、と批判しています。社説の要旨は次の通りです。

中国は常に、世界で最悪のインターネットの自由の侵害者である。6月1日、施行されたサイバーセキュリティ法は、明らかに、市民の言論と思想の統制を強化することを目的としている。同法は、グローバル企業の中国での操業に障害となり、中国企業が世界で競争する能力も阻害することになろう。

同法は、共産党が国家の名誉を害したり、経済的・社会的秩序を乱したり、社会主義体制の転覆に寄与すると看做す、ネット上の如何なる情報も犯罪であると明記している。表向きは中国のインターネットユーザーのプライバシー保護が目的だが、実際は、インターネットにログオンする全ての個人を国家が監視する権限を強化し、中国で操業する全ての企業に監視の共謀を強いるものである。

同法の対象は、曖昧・広範囲であり、共産党の見解に反する情報を発信した者は殆ど誰でも起訴し得る。そうした情報を自分のサーバーに保管する企業も対象である。

同法は、中国で操業するグローバル企業にとり非関税障壁としても働く。中国で集めた全ての情報を中国のサーバーに保管するよう企業に求めることにより、政府は国内企業を有利にしている。中国における広範な知的所有権侵害(その多くは政府が支援している)を考えると、ソースコードを中国政府に渡すべしとの企業への要請は、効果的に彼らを市場から締め出すことになる。

今日、Alibaba、Tencent、Baiduといった中国のテクノロジー企業は、中国国内で巨人となっているが、世界的にはまだ「小人」である。グローバルな競争相手が世界で最も厳しい検閲により遠ざけられてきたため、彼らは中国で繁栄できたのである。

少なくとも、検閲はイノベーションを阻害し、中国のテクノロジー企業のグローバルな競争力を損なう。この法は、中国のテクノロジー産業の閉鎖性を悪化させ、国内企業の競争力を弱める。この法律で影響を受けるグローバル企業は、中国の立法者に、同法が間違っているばかりでなく中国の経済的利益に反すると一致協力して納得させるべきである。

出典:‘China’s cyber security law and its chilling effects’(Financial Times, June 2, 2017)https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170701-00010001-wedge-cn&p=1

私は、英フィナンシャル・タイムズ紙に『中国のテクノロジー企業のグローバルな競争力を損なう』と書かれているものの、現実には、中国の中核企業の大半が政府や軍のコントロール下に置かれている以上、技術情報、経営情報、中国企業のライバル企業の動静等を政府の監視機関からのフィードバックで得られる中国企業のメリットは、本当に大きいものと考えます。

これこそが、中国企業が世界での影響力を増す方法、即ちグローバル化を政府が後押しする強力な手段と中国政府は判断していると見て良いでしょう。                ですから、中国企業を含めての競争力の低下、この点に関しての説得力は希薄だと感じます。それ以外の個人の監視、世界のグローバル企業の監視の主張には、同意します。

取敢えず(1)~(4)迄と長くなりましたが、一応これで『技術流出の話』は、終わりにします。

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