汽車と飛行機の思い出

(1)汽車の旅

2010年の初夏の頃だったと思います。競人の所で書いた葦(イ)さんが、『九十九さんは広西省の省都南寧(ナンニン)市に行ったことが無いだろうから、私と南寧にいる友達の2人で案内してあげる。』と言われ、南寧に行くことにしました。

切符は桂林(グイリン)駅で彼女が購入しましたが、桂林の様な小さい市でも、貨車も通っている為でしょう。駅のホームの数が割と多い上、ホームの長さが非常に長いのは驚きでした。 移動方法として、長距離バスなどもありますが、鉄道は省内でも主要な交通機関という事でしょう。

南寧と桂林の鉄道距離は、400km程度ですので、4時間近く掛かったかと思われます。乗車した列車は北京発だったのですが、指定席券を購入していたため、座ることが出来ました。  ただ指定席と言っても、北京発の列車であったため、片側3段、両側6段のベッドの寝台車でした。既に両側2段目は、座った場合の背になっており、それぞれ3人ずつが向い合せに座ることが出来る様に、変更されていました。日本の昔の寝台特急とほぼ同じ仕様でした。

北京から南寧までは、乗車する列車にもよるのでしょうが、1日~1.5日程乗車する必要があった様です。                                     イさんの話では、汽車が貸与する寝台車の毛布は、列車の上りと下りを含め、使う人が変わっても交換されないとのことで、不衛生さは免れませんし、また見た目にも灰色っぽく衛生的とは思えませんでした。                                 ひょっとすると、これは乗客による毛布の持ち逃げなどを反映した結果かも知れません。

乗車して一つ気になったことがありました。多くの人の手荷物のバッグが異様に膨らんでいます。この状況は、何人もの人が同じ状況なのです。

何を入れているのか気になり様子を見ていると、中にはファースナーを開け閉めする人も居たため、中を知ることが出来ました。実は、ロール巻のトイレットペーパを2~3個入れていました。そう言えば、紙の手提げ袋にトイレットペーパーを入れている人もいました。

北京以遠からの乗客(中には北京以北から来て、北京で列車を乗換えた乗客もいるはずです。)は、乗車時間が長い為、列車にはトイレットペーパーが常備されていなく、トイレ用の紙を持参していることが分かりました。またハルピン等の遠方からの乗車は、中には観光目的もあろうかと思われますが、他に家族揃っての帰郷などもあると思われますので、そうなると往復の列車内で使うロール巻のトイレットペーパーは必須かも知れません。

また殆どの公衆トイレには、ペーパーが常備されていない可能性も大きいし、他に手拭きとしても使えますし、トイレットペーパーは、何かと利用価値が多いのかも知れません。    とは言っても、持ち歩きが不便な上にそれ程値段が高くもない物を、持ち歩く理由ももう一つ分かりませんでしたが・・・・・・・。

南寧の最初の印象としては、太陽の直射日光が強く眩しくて、外では目を開けていられない程でした。サングラスが必須に思えました。それから、やはり中国でも南に位置しているため、桂林より2~3度程暑く感じました。これは南寧の市の樹がアーモンド、市の花がハイビスカスからも想像できる様に、亜熱帯の気候です。また車が多い為か、排気ガスで空気が澱んでいたのも気になりました。

南寧駅(実際は多くの人々の出入りで賑わっていました。人が多くない日時を見計らい、撮影したものと思われます。中国のどこの駅もそうですが、繁忙期には、多くの人が列を作り並ぶため、殆んどの駅前は広場となっています。)

広西省は、正確には広西壮族(チワン族)自治区と言われるように、チワン族が南寧市の人口の半分以上を占めています。イさんも、少数民族の出と言っていましたが、ひょっとするとチワン族の出身かも知れません。

市の総人口は750万人で、市の中心部には250万人が住んでいます。南寧は、ベトナム、タイ、カンボジア等の東南アジアとの貿易上重要な都市となっています。桂林とは異なり、建物も省都らしく、上海と同じように高層のビルが目立ちました。

イさんは南寧の友人と遊びたいという事で、私より2日程遅れて桂林に戻りました。    私は仕事もあり僅か1泊だけで桂林に戻りましたので、残念ですが南寧の観光地を見て回る ことは出来ませんでした。

イさんから切符を買って貰い、桂林に帰ることにしましたが、席は普通席にしました。        始発であることに加え、夕方に比較的早く乗車したため、私は席を確保する事が出来ました。

乗車した汽車は、2人ずつが向い合う4人掛けの席でしたが、客車自体が古く、背もたれも腰を下ろす座面も硬めで、クッション自体も良くありませんでした。             日本だと数十年前に廃止されている様な、タイプの列車でした。

列車が動き始め、暫くすると女性の車掌が客車の掃除に来ました。            掃除は車掌の仕事の様で、席の下のゴミや散乱していたビニール袋のゴミを、手持ちの大きなゴミ袋に入れ、持って行きました。客の中には、車掌に協力して、目につくゴミを大きなゴミ袋に入れてあげる人もいました。                           その作業が終わったら、同じ車掌が今度は切符の検札のために、まわって来ました。    その車掌は、客車の数輌を自分の仕事として割り当てられていたと思われます。

列車に乗り2時間程過ぎた頃、列車内で言い争いが始まりました。            通路に立っている人も多く、比較的混んでいたこともあり、席の奪い合いでもめて居ました。  トイレに行くために、席に紙袋を置いていた女性が、戻ってくると他の人が座っていたことが、口喧嘩の原因の様でした。

当事者とその関係者は、ほんの数人であるはずなのに、客車の多くの人々が2つに分かれて、大きな声で言い争っています。当事者でない人が、正義感に基づくためか良く分かりませんが、他人の言動に割り込んで発言して来る、これは日本ではあり得ない事です。                 直ぐに先ほどの女性の車掌が駆けつけて仲裁に入り、何とかもめ事を解決しました。    車掌は幾つもの仕事を抱えている上に、喧嘩の仲裁もあり、本当に大変だと感じました。

私が成都にいた当時、2012年の夏に仲間と青城山に登る為に、高速鉄道に乗ったことがあります。https://www.wikiwand.com/ja/%E9%9D%92%E5%9F%8E%E5%B1%B1                                           地図だけを見ると、別に高速鉄道に20~30分乗るほどの距離でもないのですが、実際は高速鉄道に乗車しないといけない程の距離がありました。(ただ高速鉄道とは言っても、料金自体は、そんなに高くもなく、また比較的小さな駅にも停まっていました。)            最近の状況は良く分かりませんが、日本人の仲間内では、中国の地図には縮尺が無い地図が多い、地図の場所もいい加減だとの認識でした。                     グーグル社は、業務妨害を受け中国から撤退せざるを得ませんでしたが、これは中国政府の地図情報は、軍事上の重要な機密に当たると言う考えに基づくと思われます。        ですから、中国の地図をグーグルで開いても、拡大すると正確に見ることは出来ません。

ご参考迄に、高速鉄道に関する人民網日本語版の記事を見つけそのままコピーしましたので、ご一読下さい。                                   日本やドイツの新幹線をベースとした高速鉄道の敷設は、人海戦術の力でしょう。     驚くほどのスピードで瞬(またた)く間に、高速鉄道が基幹の鉄道として、中国全土に敷設されました。

ですから社会インフラを見ると、私が乗った様な日本では廃止された様な古い客車が動いている一方で、高速鉄道という最新式の客車も稼働しており、成長のアンバランスさは拭えません。

【南寧鉄道局が明らかにしたところによると、南寧(広西チワン族自治区)と北京を結ぶ高速鉄道が9月25日に正式に開通する。所要時間はこれまでの約27時間から13時間30分に短縮され、約半日で到着することが可能になった。

約2500キロメートル離れた南寧-北京間を結ぶ旅客列車が初めて開通したのは1955年8月のこと。開通当初の所要時間は70時間だった。それから半世紀以上がたち、鉄道部門は6回にわたるスピードアップを行ったが、線路条件などの制約を受け、両地を旅客列車で行き来するには依然として27時間が必要だった。

今回開通した南寧-北京間の高速鉄道(G422/1)は、柳南(南寧-柳州)高速鉄道、衡柳(衡陽-柳州)高速鉄道、京広(北京-広州)高速鉄道の線路に沿って運行され、所要時間が約半日に短縮された。南寧と石家荘、南寧と武漢を結ぶ高速鉄道もまもなく開通する見通し】編集SN)「人民網日本語版」2014年9月25日

(2)春秋航空の飛行機に搭乗

パクさんという人は、桂林で務めた会社の同僚でした。                 桂林の会社を辞め、上海に仲間と会社を作ったので、私にも助言を欲しいとのことで、2泊3日の予定で上海に行くことにしました。チケットは、全てパクさんが手配してくれました。     行きは、中国国際航空(チャイナエアーライン)だったので、問題はありませんでした。       帰りは、東方航空,南方航空などの大手エアーラインの切符が入手出来ないと、彼から連絡があり、彼に一任する事にしました。                          結果、搭乗することになったのは、春秋航空という国内専門の格安航空機でした。

搭乗すると、前の座席との間隔が狭く、また横の座席も窮屈で、更に中央にある1本の通路が非常に狭いのが気になりました。

前の人の背持たれの下部には、通常非常口の案内とか、航空機の月刊誌などが入れてありますが、何もなく、ただ透明のビニール袋が1枚入れてあるだけでした。

離陸後、人がトイレに中央の通路を通るにしても、人一人が通るので精一杯ですから、乗客の2人が向かい合せになった場合、一人は座っている客の席にずれ込んで、人を通さないとどうにもならない、場合によっては、座った客の膝の上に乗っからないと、反対方向に進む人を通せない、そんな状況も散見されました。キャビンアテンダントも、ワゴンを使わず、片手にポットをもう一方に紙コップを持って、お茶を出す状態でした。

格安航空機であることから、乗客を沢山詰め込み過ぎたのが理由だと思われますが、私も息苦しさを感じずっと気分が悪く、この状態は桂林空港に着くまで続きました。中には、吐き気を催す人もいたのだと思います。この時の為に、先ほどの透明のビニール袋が用意されていたのだと思います。この体験をして以来、格安航空機に搭乗することは、止める事にしました。

その後、中国人の爆買いや日本人ビジネスマンの中国出張では、運賃の安さもあり、春秋航空を始めとする格安航空機が地方空港を発着地として、盛んに利用されている様です。    中国の国内便とは異なり、海外便については、より厳しい国際的な法的制限や守るべきルールもあるでしょうから、過度の乗客搭乗はある程度制限されているものと思います。

しかし安い運賃で運航し十分な利益を確保するには、食事等のお客サービスの低下、飛行機の機体部品交換頻度、保険の付保等あらゆる事でコスト削減が必要で、この結果必然的に安全性も劣るのではと、危惧致します。                             更に万一の事故発生時には、中央通路の幅が狭すぎることから、多すぎる乗客が原因で避難する場合の支障も想定されます。

ですから『命は、運賃の安さでは補えない。』と判断し、私は格安航空機には、絶対に搭乗しないことにしています。

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