交通事故と怪我の治療

私が静慮荘を開店後の事件でしたが、お寺の経営者のソウさんとも、契約解除でもめる前に発生した交通事故について書きます。

私はリョウさんが運転するバイクの後ろに乗り、三里店の『ロータリー交差点』に来た時に、事故が発生しました。                                ここは、乗用車、トラック、バス、それにバイク類が数多く、行き来しています。     当時桂林では、信号も市の中心街を始め、数か所しかありませんでした。

ロータリー交差点(別名:円形交差点)とは、交差点の一種で、中心の島の周囲を一方向に周回する方式のものをいう。ロータリー交差点(円形交差点)の一種にラウンドアバウト(環状交差点)がある。日本では2013年6月14日法律第43号改正の道路交通法により、このラウンドアバウトが導入された)。

中国では、日本と逆で車は左ハンドルですので、道路の通行も日本とは真逆です。図の様に、私たちのバイクが進む方向の内側に、バイクに乗っていた20歳前後の若者が右の方に出ようと、入って来ました。(本来であれば、ロータリーに入って来て90度の角度で出ていくため、 中側に入るのではなく、外側で大きく円弧を描き回るべきなのです。)

そこで右方向に行くためには、私たちが邪魔と判断し、私の左肩を強く押したことからバイクが横転し、私は右ひざをコンクリート道路に強くぶつけてしまいました。(日本と違いコストの安さからか、或いは戦時体制になっても戦闘機が離着陸出来る様に準備しているためか、ほとんどの道路が、アスファルトではなくコンクリートです。)

私とリヨウさんは、その場で交通警察に電話し状況を説明し、警官に来て貰うことにしました。

ただ電話したのが夕方5時半を過ぎており、夕食時なので、遅れてくるだろうとは想像していましたが、ひどいものでこちらに警官が来たのは夜7時近かったのです。

警官は2人来ましたが、調書をとる準備もなく、『交通事故を起こし周りに迷惑をかけたのは、お前たちだ。だから、バイク2台とも没収する。それが嫌なら、お前達で解決しろ !』と 言い残し、僅か5分ほどで帰って行きました。

さんざん待たせた上での、余りの対応の悪さに唖然としてしまいました。         私も警官を待つ間にもズキズキと傷みが増し、膝が腫れて来ました。

治療費として、若者に金を要求しましたが、財布には200数十元しかありません。     リョウさんと相談し、200元だけを受領して解放しました。               ビッコを引きつつ三里店の総合病院に入り、レントゲンを撮りました。          膝の皿の部分にひびが入ったばかりではなく、少し骨も砕けている様でした。       リョウさんは、直ぐお寺の経営者のソウさんに携帯電話して、対応を相談しました。

病院の人は直ぐに入院する様に言っているが、止めた方が良いというのが結論でした。   その理由は、「日本人の入院だとお金を沢山取れると病院側は思っている。私が入院することで、他の病気をうつされる可能性もある。食事もまずい。」ということでした。

病院の診察費とレントゲン代170元を支払い、その後はソウさんに乗用車で病院まで来て貰い、自分のマンションに戻って寝ました。

翌朝目が覚めたら、膝を中心に右足が腫れあがっています。               トイレに行くことも儘なりません。                          朝方、リョウさんが来てくれ、ソウさんの奨める中医に行くことになりました。      その病院のある先生は、骨の治療では知る人ぞ知る名医だとのこと。           昨日のレントゲンフィルムを持って、リョウさんにタクシーで連れて行って貰うことにしました。

治療してくれた先生は、年取った先生でしたが、「何代にもわたり漢方薬を使った治療をして来ているため、他の中医とは比較できない程、沢山のノーハウを持っている人だ。」と、ソウさんから聞いた話として、リョウさんが説明して呉れました。              その先生の後継ぎは、娘さんが中医として、同じ病院に勤務していました。

さて治療法ですが、先生がレントゲンを見た後、緑色のぺんぺん草に色が味噌に似た漢方薬を塗り、それを膝に貼り、上から包帯でぐるぐる巻きにして終わりました。         漢方薬の薬を作るのにちょっと時間がかかり待っていましたが、先生が『2~3時間したら痛みは消える。ただ腫れは、ちょっと時間がかかる。』と言った通り、マンションに戻り、しばらくしたら嘘のように傷みが消えました。

ただし、やはり傷は残っているので、無理に動かすと痛みは出ます。           この日の治療費は80元で、1週間に1回土曜日必ず薬の取替にタクシーで行きましたが、毎回80元で済みました。4~5回の通院で、腫れも無くなりました。             ただ余り無理は出来ないため、リョウさんが松葉づえを持ってきてくれたので、会社へは暫くの間は松葉づえとタクシーで通いました。

良医に巡り合ったという幸運もあるのでしょうが、改めて人間が本来持つ、自然治癒力をサポートする漢方薬の効果を、知ることが出来ました。

私は、日本の自宅近くの急坂を自転車で下っていた時、カーブを切り損ねてブロック塀に激突し、左足の膝のじん帯を痛め治療したことがありましたので、右と左の治療法の比較が出来ます。

日本では入院し、手術後、治療した箇所を石膏や添え木で固定します。(傷みも結構後まで残りました。)このため石膏で覆われた部分が空気に触れないこともあり、かゆみが出たり、また筋肉が衰えて足が極端に細くなったりして、その後のリハビリにも時間が必要でした。

また手術中に使用した麻酔の後遺症が残り、気分も良くない入院生活を送りました。完治するまでに、3ヶ月程かかったと思います。                        ですから、この漢方と西洋医学の両方を融合した治療法も、考えられるのではないかと思いました。

ただ去年の12月に右足の膝の内側から、全く痛くはないのですが、爪切りで切った爪の1/10程度の小さな骨の破片と思われるものが、2個ほど出て来ました。            約1ヶ月以上もの間仕事が出来なく、マンションでぶらぶらしていましたが、この間、リョウさんや会社の仲間が食事の準備や差し入れをして呉れたので、助かりました。

ところが、この自宅で療養中に、思い掛けない事がありました。

私が全く会ったことも、名前も聞いたこともない、楊さんという50歳代の女性が手土産を持って、マンションに見舞いに来たのです。                        それもわざわざ、北京からです。

私が事故で怪我をして自宅療養をしていること、マンションも新しい所にいること等、通常だったら北京にいる人が知り得ることは出来ないはずです。                話は私のヘッドハンティングだったのですが、改めて中国人の情報網の緻密さと伝播する速さに、驚かされました。

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