Bさんのプロジェクト

私が桂林に行ってから、日本人のBさんに桂林で生活するうえで、いろいろ教えて貰いました。

Bさんは当時68歳位と記憶しています。

Bさんは、中国での在留資格の問題等もあり、桂林で知り合いになったQさん(私も名刺交換しましたが、忘れてしまい思い出せませんのでQさんとします。)の会社の顧問(無給)となりました。

うる覚えで申し訳ありませんが、Qさんは、日本の秋田大学か、岩手大学の工学系の修士課程を卒業したと言っていました。

ですから日本語も上手でした。

Qさんの会社は、足温器等の技術的にそれほどレベルが高くない電気製品等を北方向けに作っていましたが、中々販路が見つからず、苦労している様でした。

Bさんの話では、本当に簡単な農機具として手押しの一輪車なども、一時製作していたことがあったそうです。

しかし田舎を廻り、農機具の販売店に一輪車を置いて貰い、売れた後で、費用を回収する方法であったため、費用回収に出向いたら、今お金が無いとか、化学肥料の購入で使ってしまったとかで、費用回収することは大変だったようです。

ある時、Bさんからの依頼で、日本の農機具を中国に輸入販売の為に協力して欲しいと言われ、私も日本の知人に頼むなどして、動いたことがありました。

そのスキームは、Q社長の出身県である桂林市全州県の役人に大きなコネがあり、日本の農機具を輸入し、これに役所が農業生産向上を目的にかなりの補助金を付け、役所のお墨付きの下、全州県の各農家にQ社長の会社が独占販売するということでした。

具体的に輸入する農機具が決まれば、全州県としての予算計上もされる予定でした。

しかし私が日本の知人を通じてコンタクトして貰った農機具メーカーは、過去において、耕運する土の状況を十分に把握しないで台湾にその会社の耕運機等を輸出した結果、土が硬すぎて機械のトラブルが続出したという苦い経験があるということで二の足を踏み、結局のところ、輸出の話は消えてしまいました。

その後Q社長は、Bさんからの提案で、汚水の浄化に取り組みました。

【桂林ビーフン】の所で、少し書きましたが、もう一度繰り返しとなりますが、ここに書かせてもらいます。

[私の知人のBさんが、桂林で会社経営している中国人Q社長と一緒に、桂林で汚水処理のビジネスを始めました。                                  元琉球大学農学部教授の比嘉先生と言う人が開発したEM菌が悪臭を消し、汚水を浄化すると言うことからBさんは、マンションの屋上で小さな汚水槽にEM菌を入れ、効果を確認していました。私の知る限り、余り上手く行ってはいなかった様ですが、並行して会社社長のコネを頼りに、2人で売込先の見学に出向いたそうです。]

結局ビーフン工場への薬剤拡散機と薬剤の売込は失敗だった様ですが、Q社長のコネもあり、市の汚水処理場へは売込みに成功した様でした。

本当に浄化の効果があるのか、今でも私には疑問に思えますが、汚水処理場の責任者は、直ぐに賄賂が入ることを優先したのかも知れません。

BさんとQ社長は、汚水処理場の責任者であるNo1とNo2の賄賂も加味し、価額提示をしたそうですが、先方もそれなりに値下げを要求して来たそうです。

一応価額が決まり、両方で契約を結ぶ段階になって、日本では信じられない様な提案(むしろ強制)があったそうです。

日本だと保守契約は1年毎か2年毎で、特別な場合を除き、期限が来たら契約を変えないで自動延長です。

しかし汚水処理場のNo1とNo2とが言って来たのは、僅か4ヶ月間の短期契約という提案だったそうです。

賄賂の額は、一人2000元なので、1回の契約で4000元の賄賂を支払うこととなりますが、年間に直すと3回の契約締結となり、12000元になったそうです。

更に悪いことに、賄賂の件が直接の担当者の知ることになり、『私にも賄賂を渡さないと、保守契約を途中で破棄させる様にする。』と脅され、更に契約ごとにプラス2000元を払わされたということです。

ですから1年間の賄賂だけで、18000元(@16.5円/元として297,000円)も渡すこととなり、 会社としての利益が無くなってしまったと、Bさんが話して呉れました。

コネが身内なのか、幼馴染なのか、知人の紹介なのか、コネの質にもよるのでしょうが、相手次第によって中身が大きく変わることを考えると、賄賂を払ったから何でも上手く行くなんて考えは、甘いのかも知れません。

賄賂の話が出て来ましたので、似た話として、私がリョウさんから聞いた話をここに書きます。

人民解放軍の要職にいた毛沢東の孫の『毛新宇』は、桂林空港を造る際、『この仕事は俺がやる。他の誰も俺の仕事に口を出すな ! 』と言って、予算を全て取上げたそうです。        そして予算の半分を自分の懐に入れ、残りの半分の金額で市に丸投げしたということです。

ところが2018年5月に、こんなニュースが舞い込みました。    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180502-00030457-hankyoreh-kr

【その後確認したところ、記事が消えていましたので、要点を書くと次のとおりです。   2018年4月22日、北朝鮮の黄海北道で、中国人が乗った観光バスが橋から落ち、中国人32人を含む36人が死亡。中国人2人が大けがを負った。
朝鮮戦争で犠牲となった中国義勇軍の墓参の帰り道に於いて、事故が発生。        この死者の中には、毛沢東の孫、『毛新宇』がいた。彼の父親、即ち毛沢東の次男が朝鮮戦争で死去したことから、この義勇軍の墓参に加わっていた様です。
事故の犠牲者となった中国人は、軍部や政財界との繋がりが深い人が多かったことから、北朝鮮と中国の政府関係者が話合い、犠牲者名簿、葬儀方法等殆どを秘密した様です。     更に奇妙なことに5月1日には、SNSで毛新宇が北京の北海公園を見物している写真が日付入りで登場する等の生存工作も行われた。
中国と北朝鮮の関係にひびが入ることを恐れて、金正恩は秘密裏に、病院を訪れ中国人患者を見舞ったり、遺体や負傷者を中国に搬送する列車を、駅のホームで見送ったと言う内容の記事です。】

他にも公共工事等で上の方から順次予算をピンハネし懐に入れて行くため、本来の予算を満額使う事が出来ず、工事の費用を使い切った時点で本年の工事終了、次の年の予算が下りた時点で工事再開、ということを何年か繰り返しながら、工事を完工していると職場の仲間も言っています。

桂林市内を流れる河に、解放橋という名の橋を古い橋から新しい橋に架け変えた時も、予算を使い切って工事が出来ない休止期間が余りに長すぎて橋の竣工日、即ち何時橋が完成するのかが誰も分からない状況でした。                                竣工迄の間は、別の橋に車や人が迂回することを余儀なくされたため、この間の別の橋の混み具合も非常に酷く、橋の前後はいつも通勤ラッシュに似た状況でした。

権力者による予算の強奪や役人への賄賂の提供は、結果的に工事工程の遅れだけではなく、『おから工事』による人災もしばしば発生しています。

これは公共工事に限らず民間の工事でも発生していますが、本当に酷いものです。

『おから工事』:明らかに強度の不足している材料を使用した手抜き工事を指す「豆腐渣工程」の訳語。鉄骨を使わない、鉄骨がわりに竹材を使う、強度不足のコンクリートを使う、果ては廃材や空き缶・ゴミ等を詰め込むといった手抜き工事の事例もあると言われている。

おから工事の写真

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