銀行への特別定期預金

12月にもなり帰国を予定していた頃、社長から『九十九さん、最低10万元(仮にレートを15円/元とすると、150万円程度)からだけど、私にお金を預けませんか?  1ヶ月だけで良いので。

普通の銀行定期預金の6ヶ月分の利息を付けて返しますよ。預け先は、私個人ではなく、市中の某銀行ですよ。』と言われました。

彼女自身も自分の金を1ヶ月の特別定期預金をする予定らしく、私に声を掛けたのは、私にも得させたいという彼女の思いやりからで、どうも彼女が私を騙す為ではなさそうと言うことは、言葉の端々から理解できました。

私は、キツネに摘ままれたような気分で、どうしてその様な高額な利息を1ヶ月の定期預金で手にする事が出来るのか不思議でなりません。なぜか聞きましたが、秘密の様で教えて呉れません。

部長にも聞きましたが、知っているのか、知らないのか分かりませんが、教えて呉れません。私は自分で理解できない物には、投資しないという気持ちが強く、結局断りました。

後日、私のビジネス仲間のヨウさんに尋ねたところ、その時初めて仕組みを知ることが出来ました。それは、銀行が良く行う『年末キャンペーン』と密接な関係がありました。

銀行の本店は預金獲得を増やす為、各支店にキャンペーンを命じます。

この為のキャンペーン費用として、予め各支店に対して予算を与え、これを各支店は預金獲得の為に使います。1ヶ月のキャンペーン期間が終了した時点で、成績優秀な支店に対しては、報奨金が支給される仕組みだとのことです。

支店長は、このあらかじめ配布される予算と予定される報奨金を活用し、ごく限られた富裕層に声を掛け、預金獲得に走るという事でした。

ですから本社の預金獲得キャンペーンが終了し、各支店の預金獲得の成績が発表後、口座を解約し富裕層にお金を返却する方法を採っていたとのことでした。

もし支店間の競争の結果、上位にならなく、褒美が予想より少ない場合は、支店長や副支店長の個人的な持出しも発生する可能性もあります。

ただし通常業務での一般行員の努力もあることから、全ての預金獲得を一部の富裕層に頼る訳でもないし、また支店内でも予算を組みますので、個人としての負担額はそんなに大きな額には、ならないと思われます。

そして預金獲得で上位になった支店長や副支店長は、更に上のポストに登っていくことになるそうです。

この様な仕組みは(中国と日本の銀行に於ける利息の多少は別として)企業の資金需要が旺盛で、銀行間の預金獲得競争が激しさを増していた日本の高度成長時代には、日本の銀行でも同じ様な隠れたやり方が、過去にあったかも知れません。

ただこれは、金融業に関する法律に抵触する問題だとも思われますので、仮にあったとしても特定の銀行員が特定の高額預金者宅を訪問する際の、ヒソヒソ話だったと思われます。

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