桂林ビーフン

日本から桂林にツアー旅行すると、現地の観光ガイドさんからも、桂林の食べ物として有名なビーフンの紹介があります。ただし、ビーフンと言っても、日本のビーフンとは全く異なるものです。

写真は、ヤフーの検索からコピーしたものですが、私が食べたものだけをコピーしました。

値段が値段ですから、本当はこんなに具が沢山ではありません。

麺は、米粉を原料にして作られていますが、この大きさのものが日本にあるのかも知れませんが、思いつきません。ビーフン1本がうどんのおおよそ1/4の断面積、ソーメンの4倍の断面積位と思われます。

2010年当時は1皿1.5元、麺の量を増やす度に0.5元とか1元プラスされます。

昨年(2015年)桂林に行ったときは、店によっても多少値段が違いますが、確か一番小さいので2元~3元だったと思います。為替の変動もありますが、一皿30~50円というところでしょうか。

作り方は、うどんと同じで非常に簡単です。

まず料理人が、茹でた麺の水を切り、皿に載せます。

これに透けて見える位薄く切ったチャーシューを2枚~3枚、炒ったピーナツを数粒、日本の薄揚を更にてんぷらにして揚げて硬くし刻んだもの、これらをビーフン麺の上にのせこれに多少甘口の醤油汁(つゆ)をかけて、お客に渡します。

お客は、これに希望するネギ、粉唐辛子等の薬味を振り掛け、空いた席に座り食べる。

特に朝方、列を作り食する風景は日本の大学の学食の様で、桂林では良く見られる光景です。

ここまでは、当たり障りのない話ですが、これから2話ほど面白い話を書きます。

(ビーフン麺工場)

私の知人の日本人Bさんが、桂林で会社経営している中国人社長と一緒に桂林で汚水処理のビジネスを始めました。

元琉球大学農学部教授の比嘉先生と言う人が開発したEM菌が悪臭を消し、汚水を浄化すると言うことからBさんは、マンションの屋上で小さな汚水槽にEM菌を入れ、効果を確認していました。

私の知る限り、余り上手く行ってはいなかった様ですが、並行して会社社長のコネを頼りに、2人で売込先の見学に出向いたそうです。

ビール会社、市の汚水処理場と廻り、最後にビーフン麺を作る工場に行ったそうです。

見学先は桂林ビーフン協会の会長さんが経営する工場とのことでした。

私の知る昭和30年代の日本の醤油工場なんかも、工場内ならともかく、工場の周囲であっても道を歩いて通るだけでも、人糞に似た匂いで臭くてたまらない状況でした。

これは穀物の発酵による悪臭だと思いますので、ビーフン工場の匂いもある程度想像がつきます。

真夏の炎天下の中、Bさんも工場の強烈な匂いの強さに、屁奇癖(へきえき)したそうです。

当日は、協会の会長さんの案内で、工場の製造工程を見学したそうです。

屋外にあった25mプール程の浅い水槽の所に来た時、作業員の男が、スコップで水を十分に吸収した米を水槽から上げ、コンクリート床に積み上げている場面に出くわしたそうです。

男が大きなスコップで、米を水槽から取出しコンクリートの上に投げ出す毎に、米の白い色が見えない程に無数の黒い大きなハエが群がるのを見て、ビックリしたそうです。

群がったハエの上に、更にスコップでコメを掬い上げるものだから、中には飛び上がるのが遅れ、濡れた米の下敷きになるハエも出て来て、ハエがビーフンの原料の一部になっている有様だったとのことです。

店で目を凝らして観察するとひょっとすると、ビーフン麺にハエの足や羽、胴体が刻まれて、白い麺に灰色に点在する箇所が確認出来るかも知れません。

余りの衛生観念の無さに、つい口から言葉が飛び出して、Bさんは工場を案内する社長に、『衛生面をもう少し改善できないのですか。』と言ったそうです。

そうしたらその社長の逆鱗に触れたようで、『桂林の水道の貯水場はもっとひどい。! 』

『なぜ俺の所だけ文句を言うのか。! 』と酷い剣幕だったとのことです。

工場への出入りは一般の人が立ち入れないため、桂林市の大半の人がこの事実を知らないで、毎日食べているのです。

(実は中国では、水道はあるものの殆どそのままでは飲めません。雑菌やCaが入ったアルカリ性の水質のため、煮沸した後で飲むか、或いは5Lとか10Lとかの大きなプラスチックやガラスの容器に入った水を、1個幾らというように、食料品店や雑貨店で注文し配達して貰います。また近くの食料品では、ビール瓶程のプラスチック容器に入った飲料水も売っています。)

桂林ビーフン協会の会長ですら、衛生感覚がこの有様ですから、他の麺工場も推して知るべしです。値段からしても、市販のペットボトルや配達の水も、衛生面では似たり寄ったりかも知れません。

またヒ素や水銀の混入と異なり、お腹をこわす程度だったら日常茶飯事と思われることから、保健所が動き営業停止や操業停止にはまずならないと思われます。

まあ冷静に考えれば、ここは日本ではありません。雑菌を食する事に慣れた人々ばかりの国です。

それにビーフン麺の材料の一部になったハエだって麺の製造工程の中、高温で煮沸されるため、結果的に殺菌消毒製品となっている訳です。不衛生であっても高熱で使うため、一応殺菌される『地溝油』と同じです。

注)ウィッキ―ペディアでは、

《地溝油(ちこうゆ)とは、中国で社会問題化している再生食用油のこと。        工場などの排水溝や下水溝に溜まったクリーム状の油を濾過し、精製した安物の食用油脂。  日本では下水油(げすいあぶら)と紹介されることも多い。ドブ油(どぶゆ)などとも言われる。》

と書かれていますが、何回も同じ油が再利用されることから、発がん物質が凝縮されて口に入るのが大きな問題です。

ただ、ハエという気持ち悪いものが原料の一部になっている事実を知って以来、私は桂林では、ハエがいない冬しかビーフンを食べないことにしましたが、冬は帰国していることが多く、食べる機会は大幅に減りました。

(行列の出来るビーフン屋)

これは桂林に限ったことではなく、他の都市でも、いろんな料理でしばしばニュースになります。

私の友人の丁さんから聞いた話です。

桂林では、何時行っても非常に混んでいるビーフン屋があったそうです。

日本の味が良いラーメン屋に人が並ぶのと同じイメージですが、何せ中国ですから並ぶ人数が違った様です。待ち時間も相当な時間になったことと推測します。

そのビーフン屋に数回行くと、ここのビーフンが一番うまいと思うようで病みつきになります。

なぜならその店は、ビーフンに麻薬を入れていたことで、警察の摘発を受け、経営者が逮捕されたとのことです。

通常ビーフンに麻薬を入れていた事実は、関係者しか知らないため殆どが見つからないのですが、恐らくそこで働いていた従業員が待遇などで経営者ともめるとか首になったため、警察に密告したものと推測されます。

これは、非常に美味しい料理だからといって、気を許してはいけない事例の一つです。

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