熊虎牧場

桂林空港からバスやタクシーで桂林の中心街に向かう途中に『熊虎牧場』があります。

私はここに行ったことはありません。ここは、中国人の観光客向けの観光施設となっていますが、動物虐待施設の見学に見えるため、ここが外国の観光客向けにツアーに組まれることは、まずありません。

私が桂林に来た当時、右も左も分からなく生活の基盤や人脈を作る上で大変世話になったBさんから聞いた話です。Bさんは、中国人の友人の誘いに応じて、この熊虎牧場に行ったそうです。

ただ彼が見たのは、熊の方ではなく虎の方だったとのことです。(熊は同じ敷地内の別の箇所でショーを行っていたと思われますが、Bさんは見学していないため内容は不明です。)

彼が見学したところは、闘牛場の様な場所で、囲みの外側には多くの中国人観光客がショーを見るために、集まっていたそうです。                         ショーの開始が告げられるとそこに2頭の牛が放たれました。牛は、慣れない広場に突然引っ張り出され、中国人の大声の中で、緊張して見えたそうです。

しばらく待っていると、檻に入った複数の虎が運ばれて来て、一斉に檻の鉄柵が開けられたそうです。そうすると恐怖のあまり逃げ回る牛の首をガブリと噛みつく虎や、牛のお尻や後ろ足に、前足と牙を上手く使い噛みつく虎の姿、牛の血が滲む姿を見て、多くの観光客が興奮の声をあげたそうです。

スペインの闘牛と同じ様に観客も興奮の渦に巻き込まれ、Bさんもその雰囲気に圧倒されたそうです。そして瀕死の牛をこれから虎が食べようとするその時、車の前面に槍を何本もつけたジープが現れ、今度はジープが虎を追いかけまわし、牛を食べるのを止めさせます。

ある程度、牛との距離が出来たら、今度は牛虎牧場の職員が、死んだ牛や瀕死の牛を運びだしてショウーが終わったそうです。虎には直ぐに牛に向かう様、ショウが開催される日の数日前から絶食にするそうです。

虎は、人手をかけて牛を殺すという手間を省くだけに利用されます。

死んだ牛の肉は当然食肉として売られるので、このショウの経営者は、殆どお金をかけることなく、ショウで大きな収入を得ていることになります。

虎の事が出て来ましたので、別の話を付け加えます。

世界全体では虎の数も激減しているのでしょうが、桂林にいるこの様に囲われた虎はむしろ増えているそうで、虎料理専門の店もあります。

ただこの店は、誰もが入れる店ではなく、中央からの役人の接待の場所としてだけ使われ、虎の肉の料理を出しているとのことで、1年の殆どが休業状態です。

常日頃から賄賂が横行しその役得にあずかる官僚は、お金も沢山持っているため、わざわざ  桂林に出張した時にお金をプレゼントしても印象が薄く、接待の効果は限られている様です。

役人の接待においては、殆どの人が経験したことのないこと、誰もが口にし得ない物を料理等で提供することに重きが置かれる様です。

虎の肉や内臓は、長生きや精力剤的な効果もあると言われているため、出張で来た高級官僚から虎の肉を食することを要求されるケースもあるとのことです。

高級官僚には、桂林で虎の肉を食べたと言う自慢話を得たことで、本人のプライドを高める効果もあるようです。

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